今、何が起こっているか - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.60  2004年 12月号

今、何が起こっているか

今回は、20世紀・21世紀を比べて、今、何が起こっているかという話をしたいと思います。

 今、新聞等を賑しているように、とてつもない規模の企業でも崩壊しかねない時代になってきましたが、今までこのような事は考えられませんでした。これは価値観も含めて時代が大きく変わったことを意味していると思います。

 20世紀というのは、どちらかというと、物が足りなかった時代、豊かさも足りなかった時代で、人口も増えていくという時代でしたから、新しい提案をすれば、皆がそれに飛びついてきました。そういうノウハウや営業で、十分に売れたし、極端に言えば、作ったものがいいものだといえば、押し売り的に売れたし、そういう意味では、20世紀は、今とは全く違う状態で進んできたといえます。

 それが、この21世紀を迎えた途端に、人口は減る傾向で、高齢者も急速に増えていく、そういう時代に切り替わり、スピードも変わりました。IT革命に象徴されるように、情報が非常に得やすくなり、20世紀の何十倍ものスピードになったと思います。という事は、人間の意識もそれに合わせて変わっていかなければ、到底追いつけない世の中になってきていると思います。しかし、私はその中でもどこか、原点に戻っていく、という感覚も得ています。なぜかというと、20世紀というのは、売れる時代ですから、相手のことを考えるというよりも、売ることだけを考えていればよかった。物が主人公的な時代が20世紀で、21世紀というのは、やっと人間が主人公になってきたのではという気がします。一人一人に色々な要望・要求がありますし、その一人一人の意見を取り入れながら、事業をやっていかなければいけないと思います。

 当社も「困ったところにビジネスあり」の考え方でやってきた結果、功を奏しているわけですが、今、21世紀を迎えて、そのあたりが全く変わってきていることに気がついていない人が非常に多いと思います。私たちには「御用聞き」という考え方が基本にありました。まず、相手は何をお望みなんだろう、何を考えているんだろうというところに、原点があります。

 それから、スピードに関しても、少人数で動きやすい仕組をつくりました。ほとんどの方が、売上の高さや、社員数という数値を誇った時代がありました。私達は、パーヘッド経常利益(一人当たりの経常利益)を重視し、それは4000万という数字まできています。根本的に考え方を変えたわけです。

 それから、「絶対つぶれない会社」とは何かという考えが基本にあります。その為には、売上の伸びに比例して、経費も伸びていくようでは、非常に厳しい時代だと考え、経費を抑えられる仕組にしてきました。

 時代を考えると、ITの普及で、店がなくても商売ができる時代になっています。例えば、チケットもインターネット上で、最近では、消費者金融もネット上で申し込みができるようになっています。こうなってくると、店舗を構えているほうが経費のバランスをみても、やや不利だという見方もできるわけです。原点は、一人一人のお客様が何を求めているか、何にお困りなのか、という事から始まり、それをすばやくサービスとして提供し、時代の変化に対応したサービスをさらに加えていく事だと思います。そのような事を徹底していかないと、栄枯盛衰というのは、本当にあっという間だと思います。また、各企業がこのスピードの中で生きていくわけですから、慢心した瞬間に全てが終わると思います。私も多くの経営者の方とお会いしますが、経営者というのは、心配性でなくてはならないと思います。もちろん、心配しているだけではなく、心配だから、先手先手を打っていく。そういう先手を打てる実行力が、これから、ますます重要になってくると思います。

 いま、勝ち組・負け組という事がよく言われますが、この勝ち組の中でも、さらに勝ち組・負け組に分かれていくし、逆に敗者復活戦もでてくるでしょう。それもすごいスピードで変化していくと思います。21世紀というのは、混沌とはしていますが、原点を忘れてはいけない。商売の基本とは何か、そういう意味では、あらゆる経営者の方たちが原点に戻れる時代、戻らなくてはいけない時代がきていると思います。

 本来、日本というのはすばらしい国で、サービスといい、清潔感といい、世界に誇れるものだと思います。日本は、技術面がどうしても前面に出ますが、何よりもすごいのは、サービスや、人柄、それに加えて、清潔感、今に日本のそういう面が外に出て行く時代がくると思っています。

 21世紀はせわしいからこそ、スピードとパワーが、本当に必要な時代です。ですから、安穏としていると、あっと言う間に置き去りにされてしまいます。色々な業種が全部変わっていく、忙しくて、神経質でもある時代なのですが、何かの原点に向かっていっているという感じもしています。ですから、基礎をしっかりもちながら、原点を重視し、本物になるべき時代という気がしています。時代に翻弄されることなく、自分の本望、良心、善意、相手が本当にやりたい事をきっちりとやってあげる、私は、いつも「おせっかい」という言葉で終えてしまっているのですが、おせっかいができるような企業、おせっかいができる人間、そんな人たちが信頼を得て、生き残っていき、いい人生にもなっていくような気がしています。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道