ウォールームを持つ - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.68  2005年 08月号

ウォールームを持つ

今回は早すぎる世の中の変化からお話ししたいと思います。現実に近年におこっていることとして、不動産に関しては、去年の秋頃から今年にかけて倍になっている物件もありますし、ファンドを含めて多額の資金が動くマネーゲームの体をなしてきています。お金が動いていますから、それに伴い外資系の方も多く、当然彼らは出口を探す。その循環の中で利回りが落ちていっており、この先も色々な変化が起こると思います。また株についてもネットでの取引が膨大な量になってきていて、一日で何回も取引するような、ある意味投機的な取引も当たり前になってきています。実際にその動きをとめることもできないし、制限もできません。その中でペイオフが解禁され、中高年の団塊世代が退職を迎えています。中には年金だけでは生活できないおそれもあり、退職金をどう活用するか、収入が上がっていけば豊かな生活を求めていきますが、これらによる変化もまたすごいことがおきます。企業の株も動いているとなると、 売りは少なくなりお金の運用にみんなの関心が高まり郵政民営化によりお金もまた流動的に動きだす。そうなると、来年、株はあがる可能性が高まり、配当利回りも1%、2%を超えてくる可能性もあり得ると思います。リートの利回りと大して変わらず、流動性の高い株への関心も増え、1400兆円といわれている貯蓄の10%でも株に流れれば、20〜30%アップしてくる事が考えられます。ところが不動産は非常にあがりはじめていて、急ではなく緩やかに差別化がはじまってくると思います。

 こういう時代の変化の中で我々は、たくさんの商品をそろえながら対応し、ひとつひとつのサービスを細分化しています。オペレーションやインターネットでのプロモーションに関しても工夫しています。インターネットでも、ヤフーの上位表示のカテゴリーが細かくわかれていく等、色々な見直しが始まっています。それらに対応しきれない企業は厳しい立場におかれ、各業態においてもNO1・NO2に近づかないと厳しい状態がくるでしょうし、百弱一強という分野も多々でてくると感じています。

 我々は変化に対応していこうと、他社の動き、日々の現場の動き、日々のお客様の変化を、今後データ化していこうとしています。本当の意味でのお客様の分析、マーケットの分析、あるいは動向の分析等、当然のことですが、他業態では当たり前のことができていなかったと思います。現実に、自分の出しているお店での状況はわかるが、その地域の変化、収入の変化等を追跡、記録してこなかった。これは非常にまずいということで、追っていくことを始めています。

 ウォルマートのウォールームという言葉を聞いたことがありますが、要は戦争オフィス、社長室でもあると思いますが、データ分析をしながら、時代を読み、商品を照らし合わせて、変化を与えながら IT等の道具も変えていきながら、それらのスピードに絶対そっていかなければならない。他社の動向、企業の流れというのも分析していく部署がかなり必要になってくると思います。生半可なものではなく、各現場で起きているデータを日々チェックして、その変化を組み込んで答えをだしていく。その中で自分の得意分野、誰にも負けないという分野を作っていかなければならないと感じています。

 我々の会社では、ストレージ系がかなりの比重を占めるようになってきていますし、ホテルの分野でも色々な事が見えてきています。ただしこれも気が抜けません。戦争ですから気を抜けない、気を抜いた瞬間にやられてしまうという緊張感をもちながら、チャレンジしていかなければいけません。

 緊張する話ばかりしていますが、そのビジネスの基本は「困っていませんか」の御用聞きの精神、利は元にあるという仕入れの徹底です。安く良いものの仕入れを徹底し、商売の原点を維持しながらデータを駆使して時代を読んでいく必要があります。本当のビジネス戦争が始まった、戦争の中にいるということを意識していない会社は非常に厳しい状況に追い込まれるでしょう。勝ち組、負け組が分かれ、また勝ち組の中から負け組みが現れてくる。あらゆる面で順位が入れ替わっていきます。情報が容易に大量に入手できるようになりましたから、後から進出した人達が、もっと合理的に、もっといい方法で、より大きなパワーをもって追い込みができる時代です。最初の創業企業が、全てを牛耳ることのできる時代は終わって、2番手3番手がどんどん追い越して行くような時代が来ました。

 また我々不動産業界はデータベースをもっているだけで、使っていないことが多いと思います。データベースを作りながら、その変化をチェックしながら、それを次の商品開発や広告・宣伝、あらゆるところで活用しないとデータを持っているだけで、何の意味もないと思います。我々もウォールームをつくって、この時代を乗り切っていきたいと思います。

 

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道