今年を読む - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.74  2006年 02月号

今年を読む

今回は「今年を読む」というテーマでお話しします。2006年は世間にとってもまた私自身にとっても大きなターニングポイントになると思っています。不動産に関しても、住宅系(分譲住宅、分譲マンションなど)は差別化が始まっており、ある意味陰りが見える年になるのではないかと考えています。したがって、業績の差も出てきて、銀行の融資にも差別化が始まると思います。ファンドも物件の仕入れが徐々に難しくなってきておりますが、後半に向けては出始めてくるでしょう。

不動産業界においても、今年の冬までには何らかの形で大きな変化があるのではないかと思います。これに備え、不動産に関する今後の考え方を大きく変えなければなりません。それに加えて不動産もかなり余り始め、賃料の低下もあり、激動の1年間になるでしょう。私もこの「時代を読む」の中で何度も申し上げていますが、いよいよ、次の手を打つ、常に次元を変えていく事をしなければならない時代が来ました。飲食業のように、3年も経てば全て変えていかなければいけないくらいの、すごいスピードの中で経営判断をしなければいけない、われわれの進路を船にたとえるなら、嵐が頻繁に来る舵取りが非常に大変な時期が来ています。

いま、オールドエコノミーの時代に戻りつつあるのではないかと感じます。オールドエコノミーの信用は非常に重要だという見方が増え、就職に関しても商品に関しても一流企業というものが評価され始めていくのだろうと思います。さらに「安心」「安全」というテーマが、大きな評価・判断材料となっていきます。

長いデフレ時代に、企業が何としてでも生き残ろうとした結果、無理な経営の仕方、特殊な方法を使ってきた結果、ぼろが出てきているのではないかと思います。今後はきちんとした経営を求められる、ある意味ではいい時代が来たのではないでしょうか。原点に戻るという話は絶えずしていますが、本当の意味で原点に戻らないと大変な時代になっています。ですから我々も経営理念をしっかり持って、本当の意味でお客様の立場に立ち、どういうサービスがお客様のためになるかを考えています。場面的に、瞬間的に利益を上げるなどという発想では当然長続きしないでしょう。

世間でよく二極化といわれていますが、収入の高い人と少ない人の格差がもっと出てくると思います。歴史上、中世のルネッサンス時代というのはその格差が一番広がった時代だそうです。この時代は人口減と収入の格差があった点で、今と非常に似ています。日本でも、江戸時代にこういう時期がありました。ですから、人口が減るという現象が全く無かったというわけではないのです。こういう時代は世の中が混乱したというだけではなく、かえって文化が発展したといういい面もあるわけです。今後、文化という面がもっと着目され、絵や美術などの芸術面も発展していくと感じています。

今の国の財政は、毎年30兆円近い借金をしていかないと運営が難しくなっていますから、それらの清算をするために、消費税を上げるのかどうかという問題も出てきます。私どもも、この1年間に次の手を打つことを考えております。非住居系のビジネスもしっかりと作っておく必要があるでしょうし、この間に次の材料のベースをしっかり作っておき、人材の教育、確保もしっかりしておかなければなりません。本当の意味での、本物の経営、本物の人材、本物の商品というものを、しっかり固めいておかないと2007年以降の時代の変化に対して、非常に厳しい状況になるのではないかと思います。

景気が良くなったという事を簡単に鵜呑みにしないで、この1年が時代の中での本当の節目となるのだと思って、もう一度商売を切り替えるべきだと考えています。私どもも、10年程前に商売を切り替えた結果、今があるのだと思います。ある意味、もう一度それと同じような大きな変化をしなければいけない1年ですし、自分自身の中で緊張感と「この1年を走りきるぞ」という強い信念を持って、向かっていこうと思います。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道