正しい生き方とは! - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.75  2006年 03月号

正しい生き方とは!

今回は少し固い話ですが、「正しい生き方とは」という題名でお話しします。今、いろいろな問題が起こっています。耐震偽装問題から始まり、ライブドア、東横イン、牛肉問題と、バブルが崩壊して本当に世の中が苦しくなってきたことによって、コスト削減、より安く見せる、儲かっているように見せる、あるいはその場しのぎで何かを省略した形で事が進んでいるのではないかと思います。その結果がすべて出て、逆に言えばすべて失っていく、まして犯罪者になっていくという現状があります。

 このような社会の中で、今までの儒教的な「人を信じる」「思いやる」という考え方が壊されてきています。これは苦しい中を生き残ろう、生き残ろうとしながら、これでいいだろう、このぐらいでいいだろうと自分の気持ちをごまかした結果が出てきているのだと思います。泥臭い言葉ですが、自分の中に「良心」というものがあるはずですが、その「良心」を押し殺してしまっているのではないでしょうか。

 今の世の中はもうごまかせない、ごまかすと大変な代償を払うことになるということがはっきりしています。今までは、ごまかして生きていても何とかなるだろうという事が通用していました。しかし、現状は情報化社会になっていて大量の情報が飛び交ったり、密告のような形で表面化されたりと、隠していたものがどんどん出てきます。ですから、これからは真っ当な考え方をしなければだめな、まともな時代が来ているのだと思います。

 私自身、どのような考え方をもってから良くなってきたかと思い起こすと、まず基本に、「困ったところにビジネスがある」、「困った人、困ったことを何とかしてあげたい」という考え方があります。こういった発想をしてきた事が自分自身にたくさんの良いアイディアを与えてくれたのではないかと思っております。

 若いときはなんとなく「自分にとって得な人」とか、「この人と付き合うとよいのではないか」とか、そういう人達のところに擦り寄っていたような気がします。しかし、あるときを境に、「信じられる人」、「この人は絶対に裏切らない」という人達と付き合い始めてから何かが変わってきました。得だとか、プラスになるなどという考え方をするのではなく、困ったことを何とかしてあげたい、この人と居ると安心だ、この人は裏切らない、といった人たちとお付き合いして、自然といい道を選んできたような気がします。

 こんな話をするのは生意気かもしれませんが、「若いうちは成功しない」といえるのではないでしょうか。確かに事業で成功している方はたくさんいらっしゃいますけれど、成功とはどういうことだろう考えたとき、「人間としての成功」ということがあると思います。そうなるためには、ある程度の年齢になって、親の死に目だとか、人生の失敗を経験するだとか、思うように行かないことをたくさん味わっていないと、人の痛みや、親の温かさもわからないものです。そういう事がわからない人はどうしても身近な家族が犠牲になったり、社会のためと言いながら、親兄弟も大切にできないのだと思います。社会に何かしたいと思うのであれば、まず一番身近なものを大切にできないといけないのではないでしょうか。ですから、若くして成功すると、どうしてもそういった感覚を持つ事が難しいのです。お金が最後にはどういう使われ方をするのかも含めて人はもっと身近な親、家族から学ぶことがたくさんあります。私達は自分自身の心を偽ってはいけません。特に自分をごまかさないということが大切なのです。足し算引き算ばかり考えていると悪い道へ向かっていくのではないでしょうか。

 最近、もう1つ感じるものがありまして、人に与えた分だけ戻ってくる、(戻ってくることを考えてはいけないのですが)色々な人のために何かをしてあげた事が、後々、自分に戻ってくると思います。人に与えられない人は、何も戻ってこないのではないでしょうか。法則というものがあるかどうかはわかりませんが、世の中、人、家族、身の回りの人の為になるべく多くのことをしてあげたい、身近な人に何ができるのだろうという気持ちになったときに、人は幸せを得られるのかもしれません。どうしても今はお金が表現の物差しになっていますから、多くの方がそれに着目していて混沌とした時代に向かっています。しかし、今後、本当に正しい生き方って言うのはこういうものだな、正しい生き方をしないといい結果にならないのだな、ということが多くの人々にわかってくる時代が始まるのだと思います。

 私どもも、この事業が本当に世の中の為になっているのか、お役に立っているのかという気持ちを持って進めていかないと、どこかで挫折しますし、必要とされなくなるのでしょう。私もまだまだ若輩者ですが、色々な人々と出会ったことでこのような事を教わりましたので、同じように私自身も色々な機会でその話をして、この世に生まれて人の為になったなと思える人がたくさん増えることを願っております。事業というのはそういうことの延長だと考えています。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道