二つの道 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.105  2008年 09月号

二つの道

 今回は「二つの道」というテーマでお話します。
アメリカのサブプライム問題で端を発した不動産業界の不況が、今後どのような道に向かっていくか、私は二つの方向があると考えております。

  最近では不動産業を行っていた東証一部上場企業の倒産という大きなニュースもありましたが、一つは、金融機関をはじめとして、不動産業界に対する警戒心がさらに大きくなり厳しい状況が続いていくこと。信用収縮により、債権回収等の動きに拍車がかかって、不動産会社の破綻がさらに増えていくでしょう。不良債権が増加していき、そのピークが9月、12月、来年3月と考えています。今後マーケットの非常に悪い状態が1、2年。経済の悪循環も重なれば、3年ほど続くかもしれません。

    また、一方では、原油高に歯止めがかかって世界的にドルが強くなり、アメリカの株価上昇に引きずられて日本の株価が上がる。徐々にその影響が不動産業界に出て、不動産価格の底打ち感が早く出ることもある、と考えます。多くの不動産会社はこちらの流れに期待していると思います。株の値上がりと政府の経済政策によっては、景気の底打ち感が早まるという見方です。官製不況と言われているように、今回の経済状況は、あまりにも色々なものにしばりを作った事が原因なのではないでしょうか。当然、サブプライム問題や物価高にも要因はありますが、金融機関も含め、前回のバブルよりも大きな痛手を被るのではないかという懸念があります。

   いずれにせよ、不動産の流動化は依然として厳しい状況に変わりはありません。ですから、当社も100%ストック型に切り替えるということで、来年の準備を進めています。物件を見極めれば、着実にいい仕入れもできます。ストック型ビジネスモデルで収入を伸ばし、企業を成長させていきます。

   不動産業は儲かるように見えますが、浮き沈みの激しい業界です。売買だけでは必ず破綻がくることは分かっていても、何度も繰り返されています。一番の問題は、不動産流動化は市況により止まる時期が必ずあるため、継続的な成長を求めようとすると、どうしても難しい業界だと思います。ですから、ストック型での利益がなければ企業の安定成長はありえません。

   もう一つ、ある程度の資金を確保して、ゆっくりと市場の荒波を見ながら進んでいこうと考えております。不動産市況が仮に好転する時期があったとしても、すぐに流動化へ走るという事ではなく、ストック型をベースとした企業として長い成長を求めていくのが正しい判断だと思います。昨年から申しておりますが、早い段階からストック型に切り替えられているということは、我々としては恵まれた状況だと思っています。

    不動産業界は売買だけで生きるには大変危険だということです。売買は、基本となる収益がしっかりしていて、安定した利益が得られた上で行うべきです。何百億円も利益を上げたと思ったら、ぱっと潰れるような業態自体に問題を感じております。皆さんも痛感していると思いますが、改めて明記しておきたいと思います。

    敢えて「塵も積もれば山となる」という言葉を使いますが、頑張って地道に一つ一つ積み上げていくというビジネスが、最終的には大きくなるのだなと思います。私たちは累積ビジネスによって、確実に大きくなっていく会社を目指していきます。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道