光が見えた - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.106  2008年 10月号

光が見えた

 今回は「光が見えた」というテーマでお話します。
 アメリカ大手証券会社の破綻、大手保険会社の公的救済など、世界を揺るがす事件が起こり、日本の不動産、建設会社も次々に倒産していくという大変厳しい状況となりました。その中で、「光が見えた」などというのはとんでもないというご意見もあるかと存じます。しかし、私の経験と勘では、こういった事態が起こる原因は今、急に出てきたのではなく、水面下にあったものが表面化されただけだと思います。政府の色々な仕掛けがこれから表面化します。今後も厳しい状況、悪い流れが波及し連鎖していくでしょうが、私は、ここでひとつの区切りができて、次の時代が始まるのではないかと考えております。

 世界的に一種のバブル化現象が起きていた中で、日本は相対的に割安に放置されていました。冷静に判断すると、日本は株価や不動産価値を含め、安価だという見方ができ、お金の流れが日本に向かう可能性が出てきたと思います。 

 不動産業界で言えば、底打ち感が出てくるでしょう。大手でも資金繰りが厳しいところもありますが、そういった会社ばかりではなく、この情勢の中でも順調に業績を伸ばし、資金繰りもうまくいっている会社もあると思います。不動産業界でもまた新しい勝ち組と負け組が出てくる兆候があります。ただ、負の結果というものは長期に渡って複雑に絡まりあっているので、そう簡単に解決できるものではなく、その清算は今後も続くと思います。最悪を考えて、事前にある程度膿を出した会社は生き残り、底打ちからの流れに乗れる可能性が十分にあります。9月後半から11月にかけて山場が来るでしょう。その乱気流の中、不動産の整備と共に、本当の勝ち組と、今までは勝っていたけれど負け組、とされる会社に淘汰されていくと考えております。

 今回は少々極端な話しをしておりますが、この一連の流れは今まで溜まっていた膿の芯の部分が出てきたのだと思います。景気・経済回復に向かう途中で更に膿が出ますが、ここで最後まで膿を出しきれば再発することは無いという状況にあると思います。恐慌だ、恐慌だというばかりで、誰も何も手を打たない、何も考えない、自分達がおかしくなっていく事をただ単に見過ごすということはないので、ここで歯止めがかかるでしょう。金融資本主義という実体経済から離れたビジネスの考え方に歯止めが掛かったと見るべきではないでしょうか。

 お金でお金を上手く扱っていく商売は、いつかこういう事が起こり得ます。やはり実体経済に基づいたビジネスをしっかりやっていくことが重要です。そういった会社を金融機関もバックアップするようになり、健全な形に戻っていくと思います。私はこの厳しい状況が止め処もなく長引くと感じていました。ただ、今回の大きな事件が起きた事によって皆が真剣になったと思います。私の話の中では膿の芯が取れたと表現しましたが、これで皆の目が覚めたと考えています。

 今回は、私が感じたことをお話ししましたので、色々と語弊があるかもしれません。好き勝手な事を言っているなと捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、少しは良い光が見えてほっとしたという方もいらっしゃれば幸いです。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道