今からでは遅いかも? - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.109  2009年 01月号

今からでは遅いかも?

   今回は「今からでは遅いかも?」というテーマでお話します。
   これまで、不動産、建設、金融業界の世界的な低迷という記事が新聞や雑誌等で紙面を賑わせていましたが、最近では自動車業界をはじめ、先の3業界以外でも水面下で起こっていたことが表面化してきました。今までは、業界によっては対岸の火事だったことが、実は自分にも火の粉が被っていたという事実に気づき始めていると思います。それも全業種における表面化で、慌てふためいているという感じを受けます。実際、出て来る時は一気に噴き出ますので、これから起こる悪い流れは更にスピードが速くなります。今までの考え方を変え、英断しなければ、この時代を乗り越えることは厳しいです。ですから、今から手を打つとなると相当思いきった手段でなければ、対応出来ません。余力があれば手を打つことが出来ますが、余力の無い人は非常に厳しい状況に置かれると思います。

   『時代を読む』を読まれている方は、当社が1年以上前から色々な手を打ってきていることを良くご存じだと思います。今までの不動産業界にありがちな雑然として、お金には困らない経営から、ストック型を主軸に、私たちの合言葉でいう「緻密で、丁寧に、根気良く」の経営に変えていかなければなりません。これは、当たり前で地味だと思われるかもしれませんが、確実に積み上がる利益を生むストック型ビジネスへの移行が、今の激変した環境下では必要となります。今までは、そうでなくても何とかなったミニバブルの時代でしたが、完全に状況が変わりました。全体のパイ自体が急速に小さくなっています。

   大半の人は、この状況はすぐ元に戻らないと思っていますから、当然失業率も上がって、ネガティブな発想になっていくと思います。この先2、3年は今の状況が続くか、更に悪くなるぐらいの覚悟でいなければ難しいですし、それを乗り越えた後にどの様な事が起こるか、想定しておかなければなりません。

   少し状況が良くなったと思って一気に飛び出ると、痛い目に遭いますので、今は慎重に、第一弾、第二弾、第三弾の手を打つぐらいをやらなければいけません。今年中に膿を出し切って、来年、第二、第三の荒波が来たとしても揺るがない、確実に利益を上げられる体制の会社が本当に安全だと言えます。その為に、思い切ってコスト削減をしなければいけないのですが、景気の悪化による滞納やトラブルの増加に伴う業務量の増加を想定し、その準備をしてから行わないと社内も動揺しますし、業務に追われてだんだんと体力を失っていくことが一番怖いと思います。

   不動産の底が見えない状況の中、色々な業態が厳しくなると、最終的にしわ寄せが金融機関に行きますから、融資をはじめ、様々な面で対応が出来なくなり悪循環が続いて、更に状況が悪くなることが考えられます。ですから、万が一、更に信用収縮してもやっていける体制にしておかなければなりません。
当社も本部を自社ビルに移し、経費のスリム化、社内システム化、社員のレベルアップや研修を行うことがとても大切な時期になっていると思います。今は皆さんも安心している状況では無いと思いますが、安心した時が一番怖いです。

  以前書いた、12月頃の株価動向によって先が見えるという話の中で、「極端な株のバブルも無く、インフラ整備がされているので日本は安全だという判断から、これから世界で余ったお金が日本に集まる傾向があるだろう」という予測を一部しておりました。しかし、土地や株の底値感が無い上、世界のお金が滞っているので、世界が同時に厳しい状況に置かれていると思います。世界中の投資熱が冷めているということと、日本自体の底値が見えていないことは、裏返せば、日本に対する評価が低いということです。想定したより傷口は大きく、不況はまだまだ続く。日本にお金が流れてくるという以前の私の予測ももう少し先の話になるのだと思います。

  今は事業拡大の時期ではなく、しっかりと基礎固めをしながら足腰を鍛えておくことが重要です。そういう意味では社員にとっても会社にとっても、良い企業体質を作る為の時期が来たと思っています。これからが本当に社員の力が付き、利益が上げられ、社会で生き残れる会社になれると。そういう意味では、緊張感をもち、コスト意識を高め、足元を固める会社が2、3年後も残れるのだと思います。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道