正攻法 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.111  2009年 03月号

正攻法

   今回は「正攻法」というタイトルでお話します。

   最近のニュースで報じられていましたが、GDPが年換算約12.7%のダウンというのは尋常ではない状況です。百年に一度といわれる不況が来たということが数字にも表れています。テレビのニュース報道は部分的ですから、不況と言われながら経営者でない人はなかなかそれを実感出来ないこともあります。自分の体に矢が刺さっていることに気が付いていないから、まだ大丈夫だろうと思っている状態だと思います。色々なことを想定しておかなければ、皆大きな痛手を被ることになります。悪いことを想定するのは苦しいですから皆嫌なのだと思います。それでも苦しい状況を想定して、どう対処したらいいのか見つけてやりきるしか無い時代です。 

   この「時代を読む」の中で何度も述べておりますが、私自身はかなり悪い状況を想定していたので、この1年半、顧問契約の整理、役員報酬カット、広告費の見直し、自社ビルへの事務所移転、銀行交渉、コインパークやストレージ等の賃料交渉、販売用不動産の評価損もかなり出し、あらゆることを必死にやって来ました。

  ただし、昨年後半から、これまでの想定を絶した状況になって来ていると感じます。それを世の中の経営者はどこまで読めているかというのは難しい話ですが、私の中では打てる手を打って来ました。実際、そのお陰で次の準備が全部済み、こういう時代が3年、5年続いても我々はきちんとした経営体質を保てるという状況まで持って来れたと思っています。 

   1年半の必死な行動で、気が付いてみると危急の事態を脱したと実感出来ますが、これからも気を抜くことなく、社員教育、組織作り、現場の改善などの足元固めをして行きます。金融機関の協力も頂き、仮に出店が出来ない状態や、このままこういう状況が続いても利益が順調に上がって行くような、ストック型に完全に切り替えることが出来ました。 

   先日、平成20年度の決算発表をいたしました。私としては、経営者としてやるべき事はやって来たという自負を持っております。現段階での理解は本当に難しいかもしれませんが、今後、第1、第2、第3四半期と発表するうちに理解して頂けると思います。現に今回の状況というのは、どの経営者にとっても未曽有の経験ですから、それを切り抜けるにはかなりの経営手腕と鍛練と腹の据わった経営が出来ないと無理だと感じております。それは後で結果として見て頂くしか方法はありません。 

  1年半前ゆっくりと下り始めたものが、半年前から急激に落ちた状況です。12月に「遅いかも?」と言ったのはそういう意味もあります。安心していた方が大変な状況に陥ってしまっているからです。最悪の状況を読み切れなかったという事になるのでしょうが、経営者はそれでは済まされません。不動産業、建設業が初めに被害を被った訳ですが、それに携わった人達が一番早く危機感を覚えました。受注型や売買が中心であると、どうしても経済状況に左右されますから、ストック型のビジネスのベースを持っていない会社は打つ手が無く非常に難しかったのではないかと思います。そういった業態の為、早い段階で警鐘を与えて頂いたことが、ある意味では幸いでした。これからが本当に大変というか本番の戦いになります。何でもそうですが、本番の前に準備が終わっていないと、本番を戦えません。そういう意味では自分としては準備が出来たと思っております。 

   生意気な意見ですが、逃げてはいけません。金融機関に対しても、賃料交渉に関しても誠実に対応して来ました。やはり、「正攻法」しか残らないだろうと思います。こういう時代になりますと、色々な誘い話、苦しさを一時でも助けてくれるような話、極端に言えば怪しい話、瞬間、楽にさせてくれるのではないかという話があると思いますが、絶対にそういう話に乗ってはいけません。 

   私も痛感していますが、世の中には悪い人が沢山います。我々はそういう人たちにも絶対くじけずに正攻法でぶつかって来ました。嘘を隠さず正面切ってきた結果がこれから出てくると思います。社員の意識も変わり、筋肉体質にもなって来たと思います。新しい第2のエリアリンクというスタートには立てたと思っています。本当に5年、10年とこの会社を、我々を見守って頂きたいと思います。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道