昔に戻る - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.115  2009年 07月号

昔に戻る

今回は「昔に戻る」というテーマでお話します。

 経済が縮小傾向になり、少子高齢化となる日本社会が今後どのようになるのかを想定しますと、おそらく昔に戻るのではないでしょうか。昔に戻るとは、昭和中頃のイメージです。

 経済の縮小により地方都市は厳しくなり、一部の地方では農業回帰により仕事を確保することが出来るかもしれません。しかし、経済が縮小するとどうしても仕事が都心に集中します。ですから、多くの地方都市の人達は都心に働きに出てくることになるのではないかと考えています。
昔でいう出稼ぎに出る人がもっと増えるのではないでしょうか

 私の考えでは、収入格差が生じ、今後20〜30年間で、年収が200〜300万円の人が増えていくのではないかと想定しています。しかし、経済的には賃料、物価も下がり、個々の収支バランスとしては、暮らしていけるのではないかと想定しております。ただし、広い部屋に住むことは出来なくなると思います。
また、外食する機会などが減少し、家族がいつも顔を合わせる一家団らんの光景が当たり前の家が増えるのではないかと想像しています。

 一方、少子高齢化により社会保障制度のバランスが崩れ、介護に対する負担が増加しております。ですから、親の介護をすることは非常に大変です。
実際に体験した人から話を聞くと2年が限界という声を聞きます。
介護に追われ、自分の人生をすべて親のために費やす人も中にはいます。介護にはある程度のお金が必要ですから、子の収入が減少することにより親の面倒を見きれないケースが増えてくるのではないかと思います。そうなると介護施設が多く出来、その中には粗悪な施設も出てくるのではないでしょうか。
国が介護及び施設に対してしっかりと援助しないと、社会問題になるかもしれません。
結果的に、生きることに希望をなくし、孤独、疎外感を感じ、更には金銭的な厳しさから、言葉は変わりますが、昔でいう姥捨て山のような状況が出てくるのではないかと危機感を抱いております

 加えて、最近私が感じていることは、昔に比べ今の状況に感謝をしない人が増えたのではないかということです
気に入らないこと、不足していることばかりに文句を言い、最後は他人の責任にする人が非常に多いのではないでしょうか。更に、少し頑張ったら収入が増えるという短絡的な考えも横行していると感じることがあります。今、仕事をしていること、家族と暮らしていることなど当たり前であると感じることにこそ感謝をしなければいけないのではないでしょうか。
このことに感謝をしなければ心までも貧しい人生になるような気がします。
それから、自分だけが良ければ良いという考えも感心出来ません。先祖、親を大切にし、その上で自分の人生、そして子孫の未来があるのではないでしょうか。要するに、今が良ければ良いとか、出来ないことは仕方がないと考えるのでは成長は無いと感じております。

 おそらく2009年というのは歴史的な年になるでしょう。世の中の流れが大きく変わる年になるのではないかと想像しております。ですから、若い人も含め、皆で今の時代を真剣に考えていかなければならない時期だと思っています。
今後は、格差社会だけでなく、一般的な人までもが非常に厳しい時代を迎えることになるのではないかと考えております。

 ここまでは暗い話をしてきましたので、昔に戻るというテーマを悪いように受け取られた方も多いかもしれません。しかし、古き良き時代に戻れると考えれば良いのではないでしょうか。
一生懸命に仕事をし、また家族、親を大切にするという原点に立ち戻らなければいけない時期を迎えているのではないかと思います。
今回は経済的な話ではありませんでしたが、色々な試練を乗り越え、世の中が昔に戻ることを受け入れれば自然と上手くいくのではないでしょうか

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道