気になる気配 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.151  2012年 07月号

気になる気配

   今回は、「気になる気配」というテーマでお話します。

   世の中ではヨーロッパ諸国の財政問題が取り上げられ、ギリシャは一旦最悪な状態を免れましたが、まだまだ氷山の一角で今後、色々な問題が表面化して来ると思います。複雑化した金融商品が、一つ一つ崩れていくような事態が再現されるのではないかと懸念しています。

   私はこの先、世の中は大変な勢いで変わっていくのではないかと思っています。日本では東日本大震災をきっかけとして、人心が変化し、豪華な生活をしたいと考える人よりも、平凡でも安定した生活を好む人が増えました。お金の使い方や投資の仕方も大きく変わってきており、今後、経済は縮小傾向になるのではないかと予想しています。

   1929年の大恐慌の様なことが起る可能性もあります。その時は企業規模も縮小へ向かい、倒産も増え失業率も大幅に上がるでしょう。縮小経済の中では、大企業や特定のものに特化した企業が生き残る時代になると予想されます。勿論そのようなことはない方が良いのですが、今、当社では、万が一、大恐慌が起きたとしても生き残る会社作りをテーマに、無借金化を行いながら、事業改善と社員教育にも力を入れています。

   今まで私がやって来たことをシステム化する、という事をずっと考えて来たのですが、ようやくそのことに時間を割けるようになりました。加えて私自身が教育者として、「考え方」を教え、お互いを磨き上げていくという事が重要だと考えています。

   以前にご紹介させて頂いたエリアリンク教本を社員に浸透させる為に、打合せ記録や懸案事項処理表、豆ノートやダイアリーといった、ものの考え方や使い方の研修を各部署の責任者に実施しています。社内では、ルーチンと非ルーチンという言葉を使い、非ルーチンの業務比率を増やしていけるよう、絶えず社員に対して意識付けを行っています。ルーチンは日々やらなければいけない受身的な仕事、非ルーチンは、業務効率化や成約率が上がる為の方法を考えて行動する等、自発的に行う仕事という使い分けです。今は理解する社員が出始めており、先行して意識を持つ社員が、その他の社員に研修を行う事で、意識付けとの相乗効果で成果を上げつつあります。

   当社は「お客様、社員と家族が幸せになる会社」というミッションを掲げています。家庭を犠牲にして頑張った人が出世する体制は、現在の状況には馴染みません。家族が自分の働いている会社を応援したくなるような環境にすることが必要です。

   震災やヨーロッパ問題等を見るにつけ、価値観が試される時代であり、人間社会において何が本当に大切かを考え、伝えていかなければならない時期が来ていると考えるようになりました。また、今、人としてどの様にある事が大切かを考える、人間力の時代が来たと感じています。様々な経験を経て、最近ようやく、人として広く、深く様々な事を感じ取ることが出来るようになって来たと思うようになりました。ミッションを実行する為に私自身も、これから更に人間力を上げていく事に注力しなければならないと考えています。

   経済が今後右肩下がりになっていく事を前提とするなら、ビジネスでも、価値観や方法を変える必要があります。やみくもに力で押していくという方法ではなく、当社のファンとなって頂いたお客様から他のお客様をご紹介して頂いて商売が出来る方向を目指さなければならないと思います。力技で何とかなる時代は終わりました。

   現在の様々な出来事や変化は、人々がお金お金、と走っているところから、人としての幸せとは何だろう、人は何に一番幸せを感じるのだろう、と考える世の中に変わっていく為に起こっているのではないかと思います。皆様にも、ここから何かお感じ頂ける事があれば幸いです。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道