最先端のストレージ業界と不動産運用 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.178  2014年 10月号

最先端のストレージ業界と不動産運用

 今回は、「最先端のストレージ業界と不動産運用」というテーマでお話しいたします。
 先日、9日間の日程で渡米し、不動産業界の視察を行いました。視察先の方々との率直な意見交換や、経営について合理的に目的達成を追及していく姿勢に共感し、たくさんの刺激を受けてきました。大きく2つ気づきがありましたのでお伝えいたします。

 ラスベガスではSSAという全米ストレージ業界最大の団体の展示会に参加しました。また全米ストレージ業界第4位のキューブスマートという企業の副社長とお会いし、有意義な意見交換を行うことができました。その中で興味深かったのはアメリカではデータに基づいた経営が徹底されていることです。日本ではデータを取得していても、まだ活用し切れていないと感じました。更に参考になったのは、レギュレーションマーケティングという、予め定めた条件によって、自動的に販促活動を決定する手法です。音楽業界と同等、映画業界の2倍に匹敵するといわれるアメリカのストレージ市場規模と比較すると、日本市場はまだまだ小さいですが、マーケティングの視点でみても日本は遅れていると感じました。
 日本でも市場が拡大するにつれ、高付加価値のもの、ターゲットを絞ったものなど商品展開に関してもあらゆる進化が考えられます。将来的に巨大市場で勝負するには、中小企業として成長していくという小さな視点ではなく、業界のトップブランドを作ると自負し、スピード感を持って新しいサービスやマーケティング手法を取り入れていくことが重要だと感じています。まだ認知度の低い日本のストレージ事業ですが、市場が伸びたときから力を入れ始めても、No.1にはなれません。私たちは将来を見据え、先陣をきって新しいことに挑戦する姿勢が大切だと考えています。

 フェニックス州では、不動産運用の企業を訪問しました。アメリカでは、付加価値を上げる、キャッシュフローを上げることに集中して運用を行っていると改めて感じました。また、時代背景や地域の特色を意識して物件を取引する文化があり、タイミングを見極めて投資家を集い、ノンリコースローンで購入することも一般的です。運営・管理にも工夫があって、あらゆる側面から魅力的な物件をプロデュースする優秀なマネージャーがいます。彼らは大規模ではなくとも、的確なポイントで費用を絞ってのリニューアルや、入居者同士のイベントを実施し、コミュニケーションの場を設けています。
 将来的に日本は人口減少に伴う賃貸住宅、マンションの空室率の上昇が予測されます。そういった場面でどういった運用をするのか、どういった資産を買うのかというノウハウが必要になってくると考えると、学べる点はたくさんあります。
 また、まだ日本では銀行から借入をして不動産を購入するのが一般的ですが、今後は保有不動産から得られる税引後の利益や減価償却を利用して、キャッシュフローを意識した資金調達で物件を取得していけば、不動産でも複利的な運用ができると感じています。当社の場合、現金で購入していくと、概算で10年後に500億円、20年後に2,000億円の不動産を保有するようになり、複利的な運用ができるようになる想定です。

 最後になりますが、この視察を通じ、通訳を介して様々な方々とディスカッションをしてきました。彼らの経営への視点やチャレンジ精神にたくさんの刺激を受け、私自身ももっといろいろなことを吸収して頑張らないといけないと思いました。視察の最後にはサンフランシスコでゴルフをし、美味しいワインや魚介類を食べて、プライベートも楽しみましたが、経営の視点でも人生の分岐点になるような気づきを得られ、大変貴重なアメリカ視察となりました。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道