2015年変化の年 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.181  2015年 01月号

2015年変化の年

今回は「2015年 変化の年」というテーマでお話しいたします。
 足元の不動産市況に変化が出てきたように感じています。収益物件は市場に出回る数が少ない分、一部では堅調ですが、戸建て・マンション分譲では需要と供給のバランスが崩れてきており、苦戦している企業も多くなっていると聞いています。一方で日銀の追加政策が発表されたこともあり、金融機関は資金供給に積極的です。今まで経験してきたバブル崩壊やリーマンショックの時は、不動産市況の悪化と金融が引き締まったタイミングがほぼ一致していたと記憶しています。そうした点から判断すると、今回はまだ金融が引き締まっていないこともあり、急激に不動産市況が悪化するのではなく、4〜5年かけて徐々に底に向かって進んでいくのではないでしょうか。今後、金融機関がどのタイミングで資金を引き上げるか、市況の変化をご自身の目で見極めていくことが非常に重要です。
 こうした不透明な流れの中では、どのような資産に価値があるのかに関する目利きが重要となってきます。いろいろな分野で二極化が進んでいくと言われていますが、私は不動産に関しても、その流れが当てはまると考えています。例えば、駅から徒歩5分以内の不動産と徒歩10分以上の不動産では、倍ほどの価格差が出てくる可能性も感じています。利便性が重視される風潮があり、その背景には高齢化社会の進行と高齢者層の資産運用が関係しているでしょう。税制改正に備えた相続対策や郊外の戸建から都心の集合住宅への住み替え、老後資金としての現金化などを検討している人が増えており、戦後のような30代、40代の働き盛りがマイホームとして不動産を購入するモデルは崩れ、高齢者が資産運用という観点で本当に価値のある不動産を取得する動きが活発になってきています。また、資産運用といえば、従来はマンションやビル、土地などの不動産が人気でしたが、最近ではREITや株式など金融資産への投資に人気があり、更に不動産保有にしても日本ではなく海外で取得するなどリスクを分散する傾向も出てきています。こうした今までの常識とは違う流れも不動産の二極化が進む一因となっていくことでしょう。
大手町や丸の内、八重洲の再開発に象徴されるような建設ラッシュも続いています。大型ビルが増えることにより供給過剰となり、全体的な貸出賃料の下落に繋がると踏んでいます。再開発による弊害が起こるのです。そして2020年の東京オリンピック開催まで、日本では建設現場の人手不足による人件費や建築資材の高騰が続くでしょう。こうした不動産の大量供給による貸出賃料低下と建築価格の上昇を背景に、日本でも20〜30年毎に建替えを行うのではなく、ヨーロッパのように、古い建物に改装を加えながら100年以上も建築物を活かしていくような流れに変わっていくのではないかと感じています。築年数の経った物件の方が却って建築資材も基礎工事もしっかりしていることを考えても、理にかなった流れであるといえるでしょう。日本もやっとヨーロッパやアメリカのように、今ある不動産を長く、大切に活用していく時代になっていくと予測しています。そしてこうした流れは、歴史のある街並みの保全や、より個性的で魅力的な街づくりに役立つに違いありません。
 2015年は社会の転換期を迎えていく時期になると思います。皆と同じことをしていて生き残れる時代は終わったと感じています。世の中の流れ、人の動きをみて、求められるものに特化していくことが大切です。言い換えると、個性が活かされる時代になると表現出来るかもしれません。日本では少子高齢化が進み、人口が減少すると予測されています。これらは良くない傾向と捉えられがちではありますが、今回お話ししたような不動産価値の二極化など含め、社会に変化がある時こそ、チャンスがあると思います。時代の流れを読み、自身の目で見て、耳で聞いて、インターネットでは得られない生の情報から、果敢にビジネスチャンスを掴んでいきたいと考えております。ご参考になれば幸いです。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道