潮目が変わる時 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.218  2018年 02月号

潮目が変わる時

今回は、潮目が変わるとき、というテーマでお話しいたします。
 最近、私は不動産業界において潮目が変わるのでは、という強い感覚に襲われます。過去のバブル崩壊やリーマンショックの時は、金融が一気に引き締められた結果、財務体質が脆弱な企業はあっという間に倒産し、不動産価格が暴落しました。今回金融機関は、ここには貸すけれど、こちらには貸さないという選別融資のスタンスを取り始めています。この企業には金利1%以内で融資をするが、こちらの企業には金利3%で融資をする、また、融資が受けられない企業も当然あります。そしてこの先、厳しい企業の業績が表面化するため、市場に出回る不動産が増加し、不動産価格が下落していくことでしょう。このように一度潮目が変わると、しばらく流れはその方向へと続きますので、不動産価格はまだ下がるのではないか、という意識が働きます。ただし、今回の引き締めは選別融資ですから、力がある企業は、良い不動産を安く購入することができるでしょう。
 もうひとつの予想は、サラリーマン大家さんや富裕層といった対象にも選別融資が始まっているため、世の中で不動産を買える人、つまり買う人が減るだろうというものです。買う人が減るということは、買える人に合わせていかなければならないので、当然不動産価格は下落していきます。そういう現象が起こり始めているのです。ただし、以前のように一気に金融が引き締まっての価格下落ではなく、じわりじわりとした非常に切れ目のない下がり方をしていくと思います。
 人間の心理は、下がっていくと早く売ってしまおうと思い、買う方は、まだまだ下がるのではないかと思いがちですので、この心理の連鎖により、不動産業界的にはいろいろなことが起こり始めます。現状は、企業も個人も買う力が落ちてきているのに、売る方がまだ高く売れるのではと勘違いをしており、ギャップがあります。このギャップに気付いたとき、不動産価格の下げが始まります。そのとき一気に潮目が変わります。この潮目の変化は今年中に来るのではないでしょうか。選別融資で買える人が限られることで、全体では不動産が下落し、買う人はどんどん減っていきますので、少しずつ影響が出始めるという感じがします。
 私たちもバブル崩壊やリーマンショックの経験を踏まえ、少人数で確実に利益が上がり、積みあがっていく事業にこだわりながら今の体制を作り上げてきました。その時に本当に痛い目にあったからこそ、今やっとでここまで来たのです。今から準備をしておけば、次にくるチャンスを生かせるわけです、そう考えると悪くなることもチャンスであると捉えることができます。
 今回の潮目の変化は、不動産がきっかけとなり他の業態に影響する可能性も含んでいます。そうなれば世の中全体で、お金を儲ける人が減り、損をする人が増える結果となり、マイナスの方向に進む可能性があります。そんな時でもどうにか耐えられる、という準備をしておくべきではないでしょうか。バブルの時もリーマンショックの時も準備ができていなかった私だから言える話であり、その痛みというのは言葉では表現することはできません。
 皆さんも、そのようなことが起こる可能性に目を向け、起こった時にどうするべきかを考え手を打つことが大切だと思います。そこに手を打てた方たちが次のチャンスを掴めるのです。
 厳しい内容になりましたが、もうすぐ起こり得る潮目の変化に備え、今こそ万全の準備を進めていきましょう。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道