最悪の時を想定した経営 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.219  2018年 03月号

最悪の時を想定した経営

今回は、最悪の時を想定した経営、というテーマでお話しいたします。ここ2〜3か月は海外出張が多かったこともあり、海外の事情について、また前回の「時代を読む」の中での潮目が変わる、というお話をしましたが、その続きで、業界全体が非常に混沌とし始めているということをお話ししたいと思います。
 最近、株式市場において、株価が急落しました。私は株の専門家ではありませんが、また株価は戻り始めており、おそらく今後は、徐々に回復していくものと予想しています。一方で、これは次への序曲ではないかとも思っています。私は、ここ数ヶ月、ニュージーランドやヨーロッパ、アメリカにも行き、世界中を色々とみているのですが、世界では一般の人が家を買えなくなってきています。これは不動産に対する投機的な部分が非常に多くなっていることが要因です。私は、一般の人が家を買えないということは不自然で、そのような状況はいつか必ず是正されると考えており、その日に近づいていると思うのです。
 日本国内では、不動産の不況が今年から来年にかけて徐々に表面化し、やがて株式市場にも影響が出てくると考えています。その時、どのようなことが起こるか、予想もつきません。経済アナリストが色々と分析していますが、ほとんど当たらないでしょう。私は、体で感じる、いわゆる体感的な感覚が大事だと思っており、今は、非常に危険な状態だと感じているのです。
 では大恐慌やバブルの崩壊、リーマンショック等、最悪な経済状態にある時でも取れる対策とはどのようなものでしょうか。最悪の時に強い事業は何でしょうか。過去、最悪の時には、様々なことがピタリと止まりました。その時の経験を活かし、当社では、不況時にも強いストレージ事業や土地整備事業(底地事業)を手掛け、また社員数を増やさないという考えを持って会社づくりを行っています。
 優秀な経営者は、その時々で起こったことに対して最善の策を考えればよいと言います。但し、私は二度三度と色々な経験をした中で、最悪のことが起こる前に、会社を安定させておき、次のチャンスに素早く取り掛かれる体制作り、というものはあるはずだと思っています。コスト意識を見直し無駄な経費が無いかもう一度洗いなおす、人手不足だからと言って安易に採用をせずアウトソースでも対応可能か検討する、短期借入金を長期に切り替える等、いろいろとやるべきことはあるはずです。
 また、私は経営をしていく上で、絶えず最悪の時を想定して、その時は何をするのかと、考えることが癖になるほど考え続けてきました。最悪のことは起こらないだろうと思う方が多いですし、私も現実にそうなって欲しくはありません。ただ現実に起こりうることなのです。必ず良いときがくれば悪いときがきます。不自然さはいつか必ず是正されます。
 今は次のチャンスを待つ時期、その体力を備えておかなくてはいけない時期が来たのではないかと思います。来年かあるいは再来年になるかはわかりません。その次の年になるかもしれません。けれども、ぎりぎりまでチャンスを待って、いざ、というときに間に合わないというのはよくある話です。もし最悪の事態が訪れた時、その時一番安全な方法は何か、生き残れる方法は何か、そして次のチャンスを生かせる体制は何か、ということを今こそしっかりと考えなければいけないのではと思います。
 前回に引き続き厳しい内容になりましたが、もうすぐ起こるリスクに備え、今こそ万全の準備を進めていきましょう。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道