ファンドバブルの行方 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.55  2004年 07月号

ファンドバブルの行方

今回はファンドバブルの行方から、お話ししたいと思います。

 やはり何百億、何千億という単位のお金が動くという意味で、ファンドというのはすごいと思います。不動産業界に関してもリートを始めとしてファンドの風が流れ始めたと思います。今までファンド関連の物件というのは、だいたい10億以上の物件というのが非常に多かった。それが最近では5億に下がり、また立地に関しても都心が中心だったものが、地方にも流れてきており、昔のバブル時代を髣髴とさせる動きになっています。そのため、一般の中古マーケットは品薄状態になっています。ですから現状は、あらゆる会社が買い取りに走り、買い取った物件を在庫として抱え始めている。さらには、ファンド同士での売買も始まっている。これは非常にリスキーな事です。

 結果的にどんな状況がおこるかというと、買ったものは運用していかなければなりませんから、テナントにしても賃貸にしても入居斡旋を急ぎます。そういった物件がどんどん増えていますから、必然的に賃料が下がるという、悪循環が始まるわけです。そうすると利回りが下がる。そうなると、ファンドに関しても、気がついたときは大量の在庫を抱え込んでいるという状況もありえるかもしれません。

 同時に、預金に関してもペイオフの問題等があり、どうしてもお金が運用しきれていないため、投資利回り商品が動きます。今はまだ高い利回りが要求されているのですが、今後は年間利回りが7〜8%、いや5%以上であれば、動き始める気配も感じています。

 今、お金の行方の読みが非常に難しくなってきています。不動産を通じて、色々な株の動きもみてきましたが、ファンドというのは、今後の世界の流れでしょう。お金が動いたところが膨れ上がる。その膨れ上がったところにまた、お金が移動するといった形で、ゼロサムの世界が当たり前になってくると思います。

 私の尊敬するネットワーク88の幸田先生がよく言われるのですが、売り・買い・休むという言葉があります。どの業界も休んでしまうと仕事ができなくなるという考え方もあるかもしれませんが、休むというのは、この間に別の仕事をつくるという事なのです。いつも売ったり買ったりではなく、他の仕事もつくっていかなければならない。その、他の仕事というのは、手間暇はかかるが積み上がっていく仕事です。

 我々は、累積事業として色々な商品の積み上げをやっているのですが、それ以外にも多様な形で事業を展開しています。現在は、ファンドがいま物件を買いたい時期だから、いまが売る時期だと判断しています。逆に、ファンドが買わないようなものを整理しながら購入していく時期であるとも考えています。

 そのように、先を読みながら、相手の状況を読みながら、経営判断をしていかなければならない。これは、毎月、いや毎週毎週チェックして、自分の方向転換をしていかなければいけないと思います。

 よく、すごい企業とは、大型の空母がモーターボートのようなスピードで走る企業だというのですが、そのくらい強力なリーダーシップをもった経営者が、かなりの判断を早め早めにしていかなければ厳しいという時代がきていると思います。

 ですから今は、お金の動きをよくみて、もっと大きい視野で現状をみて、何をすべきかよく考えるべきだと思います。

 こういう流れの中で、付け加えて、この秋にも新券の発行があります。それに加えて、財政というのは非常に悪いわけですから、時に私がお話しする預金封鎖というのは全くないとはいえないと思います。要するに、貨幣価値を落とすという最終手段もあり得るのでは、という感覚が強いられる、非常に大変な経営をしていかなければいけないのですが、私どもが考えるには、そういう意味では外貨や、金等での保全の手段を取らざるを得ないのかなと思っています。

 当社では、お金を生む不動産をうまく運用する志向ももっています。是非、こういう時期に収益の安定した不動産を持つ、あるいは小さな事業でもいいですから、サブリース事業をやってみてはどうでしょう。

 積み上がるビジネス〜累積事業はいいと、先日もあるセミナーで話したのですが、それが本格的でなくてもいい。当社にも色々な商品がありますが、その中のひとつでも、少しでもいい。コンテナやトランクの1箇所でも2箇所でもいい。やっておく。いまから試しておく、テストランをしておく。そういう手を、いま自分がやれる範囲でやっておくことは、すごく大事だと思います。

 そういったことを手堅く固めていくことが大事だと思います。今はブレーキとアクセルを両方踏みながらいく時代で、あるときはアクセルを踏んで、ブレーキは弱め。または、アクセルは弱めで、ブレーキが強めという、舵取りが非常に重要になってきますし、世の中の人がいいといっているものに踊らされないことも重要になってきます。

 足元を固める、時代の流れを見ながら、自分のやれる範囲をひとつひとつやっていく。ただし売り買いは、ときどき休む、という考えがなければ、なかなか厳しいと思います。

 もう一度、お金の流れ、時代の流れを読んで、戦術ではなく戦略をしっかりと練った上で、戦術にしっかりと組むということをやっていただきたいと思います。

 次回は、具体的な戦略・戦術的な事をお話ししたいと思います。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道