2008年ワンチャンス - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.93  2007年 09月号

2008年ワンチャンス

  今回は「2008年ワンチャンス」というテーマでお話します。
 今、サブプライム問題(米国の低所得者向けの住宅融資)や株価の動向も含め、混沌としていて先が読みにくいと感じております。それでも、世界を見れば景気は良いです。円キャリートレード等低金利通貨で調達した投機資金が循環して世界を回っていましたが、一挙に米国の問題をきっかけに信用収縮し、政府も色々な形で対策を打って、収まり始めています。今まで、中国、ロシア、ヨーロッパでは短期間で不動産価格が急上昇しました。これは良いことなのですが、冷静な判断をすると異常なレベルです。私は、これはおかしい、と素直に感じます。様々な要因があるとは思いますが、単純にものを考えた時に世界全体が良いという事は不自然です。バブル時代もそうでしたが、その不自然な状態は何かのきっかけで脆く壊れやすいものです。


 急成長している諸国の傍らで、日本は他国に比べそれほど高い評価はされていないので、割安感があります。その反動が出始めて、この秋口以降、評価が徐々に上がっていく感じがします。株価、不動産は活気を呈し、瞬間的に見れば景気が良くなり、利益が上げられる時期がくるでしょう。しかし、それもほんの一時に過ぎないと考えております。そのような理由で、ワンチャンスという言い方をしています。
 2008年のチャンスは当然生かすべきなのですが、ただ景気が良いから利益が上がって良かったと思うのではなく、前述のとおり一時の事だということを踏まえて、しっかり足元を固めながら2009年に備えなければいけないと思います。私は評論家でもないので、確実にこうなるとは言えませんが、物事が良くなったときにこそ厳しい状況を想定していかなければ足元をすくわれてしまいます。最終的に世の中が厳しくなっても経営が成り立つ、着実に伸ばすことのできる事業、当社では、ストレージ事業を中心とした不動産運用サービス事業の足固めをして、安定収益を得られるよう考えております。

 私は色々な経営者の方にお話を伺いますが、自分の事業を否定する人はほとんどいらっしゃいませんし、そのような会話は嫌がられます。それは当然だと思われるでしょうが、私は、いつも自分の事業に対して厳しい見方をします。良く言えば冷静に何度も回顧しながら、都合良くものを考えないようにしています。例えば、当社は毎朝社員全員で掃除をしておりますが、私は、毎日ここに初めて訪れた気持ちでものを見ます。そうすることで、できるだけお客様の立場に近い状態で見ることができ、本当に細部まで気づきます。掃除をしているから綺麗とは限りませんし、掃除をすることで満足してはいけません。ストレージ事業も室数こそ着実に伸ばしておりますが、そこにお客様がいる限り、改善事項は尽きません。本当に満足してもらっているのだろうか、心から感動してもらっているのだろうか、とお客様の方を向いて考えていると、やらなければいけないことは沢山あります。


 前回、大家業という話をしましたが、世の中で何が起こったとしても確実に事業を展開していく。そういう意味では地道です。例えて言うならば、ウサギとカメの話のように、一歩一歩、地道に歩まねばなりません。ただ、普通の亀ではなく、体が大きくなっても足の速い亀になる。亀のような地道さを持ちながら、さらにスピードを重視してストックビジネスを形にしていこうと考えております。この「時代を読む」は私が肌で感じる事を書いておりますので、当たり外れはあるかもしれませんが、今はしっかり足元を固めていく時期だと思っております。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道