危機と対策 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.95  2007年 11月号

危機と対策

 今回は『危機と対策』というテーマでお話します。
 

 最近、建設業者、不動産業者の倒産が増えていくのではないかと心配しております。耐震問題などをきっかけに建築基準法が改正され、建築確認がおりるまでに半年以上かかることも多くなりましたし、分譲や戸建、マンションも規制が厳しくなりつつあります。資材関係がインフレ傾向にある中、建設コストも以前に比べ1〜2割程度上昇傾向にあり、嫌な流れだなと感じております。今後、経営困難な会社が増え、不動産への見方も今までのように楽観的ではなくなる、のではないかと思います。一等地や二度と同じものがでない物件など、希少価値のあるものはこれからも取引されると思いますが、不動産の流動化、売買といったビジネスで収益を上げていくことが難しくなると考えております。特に不動産については、金融機関の引き締めがあり、決済ができないから買ってくれという話が当社にもたくさん寄せられてきます。金融庁の通達や指導もありまして、土地ころがしのような投機的取引に対しては規制が厳しくなってきております。
 

 当社の例で申しますと、これらの対策として「高利回り不動産再生ストック事業」というビジネスを行っていきます。ファンドもあまり手を出さない10億円以下の物件の中から、都心のビル、店舗、ホテルなど、利回りが8.5〜10パーセント以上のものを所有しております。高利回りの商品を確保できると、家賃収入があるために、会社は安定してきます。もちろん仕入れのためには多額の資金が必要となりますので、金融機関との信頼関係が重要となってきます。

 また、不動産の活用として、収納スペース貸しのストレージ事業は好調に伸びています。さらに、SOHO、コインパーク、貸地・貸し倉庫などの各事業も、利回りが20〜30パーセント、減価償却を除いても15パーセント前後の利回りで安定した経営が見込めます。要するに、不動産の売買だけではなく、高利回りの不動産を所有して利益を上げていくように切り替えていかないと、今後厳しくなるということです。
 

 これからはストック事業中心の経営をし、その中で新しい貸し方のスタイルを創る。当社で言いますと、ストックによる安定した収入と、さらに不動産再生の新しい商品。たとえばストレージやコインパーク、店舗、SOHO、貸地、貸し倉庫。これらのノウハウを持って積み上げていく。10年、20年、30年、というスパンで事業を考え、安定したストックビジネスを確実に伸ばせるように、一つ一つの事業をもう一度見直していきます。
 

 大げさな言い方ですが100年後も存在する。という実感の湧くような企業が、この不動産業界の中で生き残れるのではないかと考えております。また、安定した収入と、それに加えて新しいノウハウを積み上げていくような企業がこれからは伸びていくと思います。

 何度も申し上げますが、時代の流れがとても速いです。一週間ごとに変わっていくように感じます。これからは経営者の舵取りが重要視されます。もう一度、経営の見直しをして、安定した積み上がる事業を考えるといいのではないかと思います。少し生意気な話になったかもしれませんが、皆様のご参考になれば幸いです。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道