不動産業界の流れ - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

  1. HOME
  2. >
  3. 時代を読む

VOL.97  2008年 01月号

不動産業界の流れ

 今回は「不動産業界の流れ」というテーマでお話します。
 

 新年が始まり、新たな気持ちで今年も時代の流れというか、今年の動向について考えていることをお話します。これからは有力なファンド、資金力のある不動産会社等、強いもの同士、限られた人たちの中で競争していく限られたマーケットになっていくのではないかと思います。早々、厳しい話になりますが、様々な状況を考えて対応していかないと、生き残ることが難しい情勢だと感じております。

 現状は金融庁の政策や指導により、不動産の転売案件や分譲関係向けの融資が止まっており、金融が引き締まって来ております。流れは急激に変わりました。現在の状況が少なくとも3月頃までは続くと考え、今は動く時期ではないと思っております。

 数年前から取り上げられている耐震の問題や建築基準法の改正も含め、不動産デべロッパーが大変苦しい状況になることが予測されます。法改正によって着工の遅れ、原料の高騰による建築費の上昇で利益が圧迫されます。それにより建設業界が苦しくなり、不動産の動きも鈍くなり、悪循環になります。

 数々の問題はありますが、それでもバブルの時とは全く違う流れだと言えます。価格が下落したことにより割安な不動産が増えますが、どこまで下がるかがポイントになります。また、金融がどこまで厳しくなるか。この二つで様相は変わってきます。実際にはインフレ傾向にあるにもかかわらず、不動産の動きが不活発になることによって売買価格や家賃も安くなる傾向にあります。価格が下落した買いのチャンスのときに、資金力のある会社が、利回りを見て買いに来るという可能性があります。底値あるいは下落が止まる時、そこがターニングポイントです。

 一般の分譲やマンション、一戸建は供給過剰で、未完成在庫、完成在庫が多くありますので、需給のバランスから、価格が下がらないと売れないと考えています。ビルや店舗といった非住居系の物件は、好立地で利回りを考慮して値段が折り合えば、ファンド関係や資金のある会社が積極的に動くと思います。二極化した中でさらに二極化すると予測しています。ただし、今回は経済の不安定な兆候が出たときの国の政策によって、情勢が大きく変わる可能性があります。

 外資系等、フットワークのよい会社は一気に勝負するということもありえますが、基本は物件に対する利回りが重要な判断材料になります。

 ここ1、2年、不動産がいい流れになっていましたが、それが逆に今の悪い結果を招いたのかもしれません。政策や法律が急激に変わった影響で、数々の問題が出ていますが、その調整がされたとしても状況は悪いので、不動産の売買を中心にしている会社は非常に厳しい状況になります。ですから、常々申し上げているように、これからは物件を所有して賃料収入を蓄えることが重要だと思います。当社ではストック型と呼んでおりますが、所有するかどうかは全て利回りから判断しております。利回り計算は将来的に賃料が下がらないという前提で成り立つものですから、そのあたりは慎重に判断をしております。ストック型のビジネスに強い会社となり、安定した賃料収入で確実な伸びをしていくことが、今後、勝ち残れる会社だと思います。

 何度も申し上げておりますが、最悪の状況を考える。不景気感を持って、どんな問題が起きたとしても対応できるように、常日頃から色々な場面を想定して対応策を考えていくことで、状況が好転する可能性はあります。皆様の参考になったかはわかりませんが、是非、厳しい状況に打ち勝っていただきたいと思います。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道