さらに悪化 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.101  2008年 05月号

さらに悪化

 今回は、「さらに悪化」というテーマでお話します。
前々から、不動産業界が厳しくなるということをお伝えしてきましたが、それが徐々に表面化するにつれ、前回のバブル崩壊よりも悪い状況になるのではないかと考えるようになりました。

   金融機関の引き締めでお金の流れが止まった事により、不動産の動きが悪く、市況が悪くなると金融機関はさらにお金を出しにくくなります。また、物価の上昇に比例する形で収入は増えて行かず、追い討ちを掛けるように消費を圧迫しています。不動産に端を発して、株にも影響が出てくるだろうと思いますし、世の中の流れというのが全部連動して来ます。

  バブル崩壊時は金利を下げる等、打つ手がいくつかありましたが、今回は悪い状況が長く続くのだろうと思います。まだ顕在化しておりませんが、これからは不動産業界や建設業界で倒産の嵐が起こるでしょう。まだ表面化していない理由は、手形などを切っていない会社が多数ですから、支払期日を延ばす等、水面下で銀行との交渉が行われているのではないかと思います。ただ、そんな付け焼刃はいつまでも通用しませんから、この秋口には顕在化すると考えております。金融機関の方針にもよりますが、それが表面化すると状況は更に悪くなると考えております。分譲や販売を主体とする会社にとっては大変厳しい時代になりました。どこかで、5月を過ぎれば、6月を過ぎれば、と淡い期待をされている方も多いでしょうが、そうはいかないのかもしれません。

   ただその時に不動産が全く動かないかというと、そうではないと考えております。やはり重要なのは利回りです。私は利回り10%を一つの目安としておりますが、利回りが確保できる商品であれば流動化すると考えております。家賃収入を考慮して、適正価格でない不動産は、適正価格まで下がらないと駄目です。ただ、厄介なこと不動産の価格が下がると、賃料も下がる傾向にありますから、慎重にならなければいけません。

   今騒がれているサブプライム問題は第一波的なもので、今後、第二波、第三波的な影響が予期せぬ分野にまで波及していく予感がします。以前にも申し上げましたが、金融機関はバブル崩壊の経験から、不動産の処分を早い段階から行っていくと思います。私が話すことが実現しないことが一番良いのですが、常に最悪の状況を想定して物事を考えなければなりません。

   少し前に、勝ち組、負け組という言葉が流行りましたが、勝ち組の8割程度が落ちてしまうのではないかと思います。残った一部は、競争相手が減りますから、焦って買わずとも、吟味して収支に見合ったいい物件を手に入れられるでしょう。そういった大チャンスを掴めるのは、本当に一部ですが、価格に見合わない不動産は値下がりを続けると考えております。そのとき、大チャンスを掴めるかどうかは、どれだけ安定しているか、リスクが少ないかということにかかっています。継続して利益を上げられる、キャッシュフローも良い、変動性が少ないということが重要です。物件を選んで高利回りの不動産を所有することで、継続して安定利益が出せます。生き残るためにはどうするか、この業界に限らず、みんなが真剣に考えなければならないことだと思います。

 時間が経てばよくなるだろうという根拠の無い期待は捨て、この厳しい時代に立ち向かう姿勢が重要だと思います。今までの考え方を改めて、しっかりとした基盤を作らなければなりません。  生き残ることが勝つこと、本当に厳しい時代になっております。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道