社内にこそ目を向ける! - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.185  2015年 05月号

社内にこそ目を向ける!

今回は「社内にこそ目を向ける!」というテーマでお話しいたします。
 リーマンショック以降、当社も経営が厳しい時期がありましたが、その時の反省を込めて、自己改革を含め、様々な変革に取り組んできました。
 自分自身の一番大きな変化は社内に目を向けるようになったことだと考えています。その過程で「社員と社員の家族が幸せになること」がもっとも重要なポイントだと気づきました。社員が満足していないとお客様の満足も実現できないと思ったからです。そこからは、どうやったら社員がやる気になるかを考えることが経営者の仕事だと強く意識するようになりました。
 このような考えのもと、実際に変革した内容をご紹介します。
 まず、社員のやる気を引き出す仕組みとして、人事考課を年2回に増やしました。自身の仕事がきちんと公平に評価されることはやる気に繋がります。役員や責任者の負担は増えますが、それでも各社員のやる気を引き出すことに大いに役立っています。「チップ制度」も始めました。これはどんな小さなことでも、積極的に提案から改善までを行った従業員を評価するものです。この制度があるからこそ、ルーティン業務もマンネリ化せず、工夫をしながら取り組めるという声があります。また半期に1度、全従業員が全国から集まり、経営方針を共有したり、その期に大きな成果を上げた従業員を称え、表彰する「キックオフ」というイベントも開始しました。これらの取り組みを通じて、各従業員の自発的な頑張りや努力をきちんと評価していこうとしています。
 風通しのいい風土を根付かせるために始めたこともあります。各責任者には「コミュニケーション&ビジョン費」を支給し、自分の部署で働く従業員と昼食やお茶を一緒にしながら懇談し声を聞く場を積極的に持つように促しています。そこで集めた声は責任者クラスが参加する「社員の声ミーティング」で共有し、改善すべき点があれば実際にアクションを起こしています。また私自身も、経営者として日ごろ接する機会の少ない現場の従業員とも「エリアリンクのどんなところが好きか、嫌いか」などざっくばらんに話し、声を吸い上げる場が必要だと感じ、月に1度、雇用形態に関係なく従業員たちと食事を摂る時間を設けています。他にも日ごろ疑問に感じていることや、危機感を抱いていることなどを集める「クエスチョンシート」という目安箱のような制度を作りました。受け取ったクエスチョンシートは質問者の名を伏せ、社長室が責任を持って担当者と解決を図っています。この取り組みはエリアリンクで働く全員の声を広く吸い上げ、その声が反映される体制を作ることで、社員のやる気をより引き出す会社を作っていこうとするものです。
 ビジョンの共有や人材教育にも力を入れています。今年3月には熱海に研修所を開設しました。リクルート社の真髄ともいわれていた泊まり込み研修を参考に、当社でも年間30回程度の泊まり込み研修を行う予定です。そして、社員間の徹底的なコミュニケーションを通じて、部署のビジョンの共有を図って欲しいと思っています。こうした泊まり込み研修も昨年より導入している各部署の独立採算制の実現、更には部署長が経営者の視点を身に着けるためのステップとして重要な役割を果たすことでしょう。他にも、今年1月より私の思いや考え方を綴った「社長通信」を毎月の給与明細に同封することも始めました。この「社長通信」がエリアリンクのことを理解するきっかけになれば嬉しく思います。
 今回はたくさんの具体例を挙げました。これらの事例を通じて、どうやったら社員がやる気になるかを経営者が突き詰めて考えていくと、会社の雰囲気まで変わるということを実感しています。リーマンショック前は指示型でしたが、現在は能動型の組織になってきたと感じています。社歴の長い従業員は別の会社のようだと表現する程です。積極的で前向きな従業員が増えたことで、少人数で効率のいい組織を作っていけるという手応えを感じています。
 一方で、人も組織も絶えず変化していくので、気は抜けません。変革はまだ途上で、取り組みに対し、社内でも様々な意見があります。しかし、私は、これらの取り組みをきちんと継続していけば、いつか本物の「社員と社員の家族が幸せになる会社」になれると信じています。そして、社員が満足する会社こそが、お客様を満足させることができるということを忘れずに、今後も社内に目を向けて新たな変革に挑んでいきたいと思います。いずれ今進めている取組みの手応えが確信に変わったとき、改めて皆さんにご紹介したいと思いますので、どうぞご期待ください。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道