アメリカから学ぶ - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.208  2017年 04月号

アメリカから学ぶ

3月14日から1週間と少し、アメリカ出張へ行ってきました。今回の渡米の目的は、大きく分けて2つありました。第一は、全米第4位のストレージの会社であるキューブスマート社への訪問、そして第二は、機関投資家向けのIRです。アメリカ国内での移動も多く、ヒューストン、シカゴ、そしてニューヨークを巡るハードなスケジュールでしたが、今回も実りの多い出張となりました。
 昨年9月の米国出張では、テキサス州中東部のカレッジステーションという街にあるストレージの購入を決めました。これは海外展開を目的とした投資ではなく、今後、ストレージ事業のシェア拡大を加速させていくためには、ストレージ産業が成熟期を迎えたアメリカの企業とのパイプが不可欠だと考えたからです。私も10年来、年に1度は渡米し、米国ストレージ業界の方々との関係を深めてきましたが、昨年購入した米国のストレージの管理・運営をキューブズマート社に委託したことにより、一段と深い繋がりを得ることができたと実感しています。
 1拠点当たり50室程度で無人運営の当社のストレージと、1拠点当たり1,000室以上の規模感で有人運営のアメリカのストレージとは、そもそもの商品特性に違いがあります。それでも、まだ成長期にある日本のマーケットだけではなく、マーケットが成熟期を迎え、潜在的なニーズの開拓手法や出店戦略が、日本と異なる段階にあるアメリカから学べるというのは、大変貴重な機会となりました。今回、気付きを得た範囲は、当社でも取り組んでいる受託事業、本部と現場の役割分担、従業員の働き甲斐の重要性など、経営の多岐にわたる分野です。実践的に取り入れられる分野もありましたので、早速チャレンジしていきたいと考えています。
 また、他業種ではありますが、東海岸で約90店舗のスーパーマーケットを展開するウェグマンズ社という会社にも興味を持ちました。米国のフォーチューン誌が、毎年発表している従業員満足度が高いトップ100の企業にも1998年以来、20年連続でランクインしており、トップテンには8年連続で選ばれています。今年の調査では、グーグル社に次いで第2位に選ばれました。私自身、理想の企業像の一つとして「社員と社員の家族が幸せになる会社」というビジョンを描いていますので、そういった目標の達成のためにも、この企業を研究し、ノウハウを盗み、取り入れていきたいと考えています。また実際に店舗にも足を運び、視察をしてきましたが、ただ買い物をするだけではなく、購入した惣菜やお酒やドリンクをその場で楽しめる快適で清潔なイートインスペースも設けられており、店内でゆっくりと寛げるようになっていることに驚きました。顧客のニーズを上手にとらえた新しいサービスを提供していることが印象的でした。
 米国のアマゾン社のビジネス展開にも驚かされました。日本でもアマゾン社に代表されるネット通販の分野が従来の小売業のあり方を大きく変革させていると思います。しかし、アメリカではもっと進んでおり、ネット通販で成長したアマゾン社が次世代の小売業のビジネスモデルを構築しているのです。今年初めより、レジで精算するという従来の概念が存在しない「アマゾン・ゴー」という実店舗での展開をテストランしていると聞きますし、アマゾン社の今後の展開からますます目が離せません。
 かつての高度成長期には、流通や小売りなど様々な業種の日本企業のトップが、自らアメリカへ赴き、先進のビジネスを学ぶ流れがあったと思います。ところが昨今は若手や中堅の層が海外へ学びにいく機会があったとしても、経営層が海外へ学びに行くケースは減っているように感じています。これは大変残念なことであり、私自身も今回の渡米でたくさんのことに気づかされ、また刺激を受けてきましたので、経営に携わる層こそ、積極的に海外へ学びにいくべきだと改めて確信しました。
 歳を重ねると、新しいことに挑戦することを躊躇うことも多くなるでしょう。しかし、幸せなことに長寿化社会を実現した現代では、豊かな人生を送っていくためにも、年齢に関係なく、老いも若きも自分自身の可能性にチャレンジしていくべきだと思います。もっと勉強できることが世の中にはたくさんあるのです。まだ出張の興奮が冷めやらず、今回の気づきを経営にどう活かしていくか、頭がフル回転している状況です。また皆さんにご報告できるよう、私自身も新たな挑戦を続けていきたいと思います。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道