平成の明治維新 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.63  2005年 03月号

平成の明治維新

今回は、平成の明治維新というテーマでお話しします。今、明治維新や第二次世界大戦の時と同じくらいの変化、すなわち、ちょんまげをとる、あるいはアメリカの占領下になった、そのくらいのとてつもなく大きな変化が来ています。

 ただ、その当時のように、ペリーが来たとか、原爆が落ちたというような、武力的な形ではないのですが、お金という武力で、アメリカあるいは世界から日本が攻められているという捉え方でいいと思います。その結果、インターネットという動きも含めて、大きな変化が始まっています。今、オールドエコノミーとニューエコノミーとの葛藤のようなものが始まっているのも事実ですし、そのバックには外国の金、世界の金があると思います。ですから今は、形は違うけれど、外国の金、資本が、かなりの勢いで日本に流れ込んできて、あらゆるものが変わり始めています。お金の動きも、不動産のまとめ買いというところから始まって、ゴルフ場、ホテル、あるいは、企業に対するM&A等、世の中はすごく変わってきています。

 私も皆さんに対し、この「時代を読む」の中で、スピードが速いということは、何度もお伝えはしているのですが、中々、実感というところでは、気がついていただけてない事が多いと思います。例えば不動産でいえば、去年の相場と比較してもう1・5倍になっているとか、利回り商品がほとんどないとか、1年前は利回り10%の商品も豊富にあったものが今はもうない、といったスピードです。不動産の仕入に関しても、言葉はよくないですが、お金がだぶついているので、銀行も厳しい状態の時にはお金を出さなかったものが、今は一斉に出し始めたものですから、比較的容易に色々な物件が買える状態になっています。とにかく買い急いで、誰かが買うならうちが買うといった具合に、本当にバブルに近い状態です。

 ただし、以前とは何が違うかというと、ファンドや不動産の分譲業者が買うような物件は上がっており、それ以外のものは上がっていない状態です。ですから、人気のあるところ、分譲しやすいところは上がるので、歪みがでてきています。そして、不動産の売買においても、そういう状態ですから、売り物も非常に少なくなってきています。このスピードにお客様がついて来られるかというと、なかなか難しいと思います。加えて、ファンドにはまだまだお金が集まってくる。そして、今年はリートも何本も上場してきますから、これがまた受け皿になって、ファンドが苦しくなる前に、またリートに落とし込む、といった動きも始まってきますから、おそらくこの状態はしばらく続くと思われます。ただ、バブルの崩壊もまだいけると思っていたところに、急に起こったわけですから、最終的にどうなるかはわかりません。ここ1〜2年は、投資利回りも10%が当たり前と言っていたものが、今は当たり前ではなくなってきていますから、5%以下でもいいという考えが、今後起こってくるのではないでしょうか。これが2〜3%、最悪1%でもいいというところまでくると、バブルの崩壊なのでしょうが、5%前後で動いている分には、今の金利水準を考えてみれば、そのまま推移するような気がします。ただ一歩間違えると、今度は金利が上がったときは、逆ザヤになってきますから、とんでもないことがおこるでしょうが、それはしばらくはあり得ないような気がします。

 我々の業界、不動産業であれば、地域に特化した会社、地域の中であらゆる悩み、相談に乗りながら、新しいビジネスを展開できる会社、あるいは独自性、これからのニーズは、本当に大衆的なもの、高級なもの、徹底してターゲットをきっちりと絞り、ビジネスをしていく事が重要だと、常々お話ししています。不動産で言えば、サブリースが本当に重要で、それは賃貸、レジデンス系だけでなく、ビル、土地、空き地、空間、困っているもの、そういうものをどう加工していくかというビジネスが、これからの展開の主流になると考えています。

 今年の6月に全国賃貸管理ビジネス協会のセミナーで具体的にお話ししたいと思っていますが、今、空室率が、地方も含めた全国平均で17%台といいますから、これはすごい数字だと思います。ここで賃貸管理の大手が、一気にダンピングを始める可能性もありますから、早期の対策が必要です。どうしても賃貸管理の業界というのは、他の後追いが多いです。例えば、敷金がなくなるという動きがわかっているのに、他がやってしまってから、仕方なくやる。ネットでの客付けも、出遅れている。みんなあくまでも仕方なく変わって行く。これからの動きを考えると、3割が空室という状態もありあえるわけです。その時にどうするのかいう事も、想定していかなければならないし、その事態はあっという間に起こることという捉え方をしなければならないと思います。

 繰り返しますが、これらのスピードの速さと、いままでに無かったことが起こるという事を想定して、手を打っていかなければいけない時代に来ているのです。この傾向は止まらないと思います。気がついたら、あっという間にお金の力で形が変わって、お金がお金を生むようなパターンや、今までの既得権等は吹き飛んでしまうという時代がきますから、古くからやっているからいいというのではなく、信頼されている企業、必要であるかという事がキーになります。これは大きい小さいは関係ないと思います。例えば、レストランでいえば、小ぢんまりしているけれども、本当においしいものを提供しているところは残ると思います。あるいは、大規模でやっているところ、高級路線でやっているところ。ですから、これからはオリジナリティというのは、すごく重要になってくる。オリジナリティを大切にするというのは、お客様のオリジナリティを大切にするということです。お客様一人一人にどういうオリジナリティを提供するかというと、お客様にとって何が大切かという、本当の意味でお客様が第一であるところから、始まっているわけです。

 こういう大きな変化は必然的に人の変化ですから、その人たちに何が正しいものかというものを提供できる企業が残っていくと思うわけです。

 ただ、変化とはチャンスという言葉があるように、見方を間違えなければいけるのですが、我々の業界というのは、あくまでも後から、最後に、仕方なく、やっている事が多く、これでは駄目だと思います。先んじてということをやっていかないと、新しく、他がやる前にやっていかないと、どこかで、食われていく。そういう意味では、チャンスでもありながら、まごまごしていられない時代が来ていると思いますし、本当に、我々の心の中のちょんまげを切って、決心して事に対応していかなければいけないと思います。次回は、私どもがやっている具体的な事も、ご説明したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道