予防時代、オーダーメイド時代 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.52  2004年 04月号

予防時代、オーダーメイド時代

今回は予防時代、オーダーメイド時代というテーマでお話したいと思っております。

 はじめに、「予防時代」についてお話します。私はこれからの時代は、病気になる前や、何か事件や事故などに巻き込まれる前に、「予め手を打っていくこと」が、より重要視される時代になると思っております。今までは、何か事が起こってからとか、病気になってからとか、後になってからの話が非常に多かったですね。身近なことからお話しますと、例えば防犯一つ取っても、泥棒に入られてから慌てて何とかするのではなく、入られる前に手を打つ、入りにくくするという防衛策が重要ですし、健康に関しても、病気になってから病院に行くのではなく、病気になる前に定期的に病院で検査を受けておく、免疫をつけて日ごろから病気にかかりにくくする工夫をするということが一層必要となってきています。事業に関しても同じことが言え、何か起こってから対策を立てるのではなく、先を読んで事前に手を打つ、防衛するといった体制が今後の経営を左右していくほど重要だと思います。

 当社においても、あらゆる面で予防というテーマで各事業をチェックして、必要に応じて手を打っております。例えば賃貸住宅においては、新規でオープンが決まった際や、入居者の退去が決まって空室になる前など予めチェックしておいて、どんな手を打つかということをかなり早い段階から検討しております。また更に先を読んで、これからの日本が若い世代の人口が減少する一方で、高齢者が増加していくに当たって、当社としてもどのような手を打っていくべきかということを考えております。これまでも少子高齢化問題は取沙汰されていましたが、そろそろそれぞれが真剣に考えて手を打っていかなければならない時期に来ているのだと思っています。常に先を読みながら事前に手を打っていかないと、気づいた時にはあっという間に手遅れになってしまう恐れがあります。しかも時代の流れは日々加速度的に速くなってきていますから、先を読んだらすぐに手を打つというスピード感覚が非常に重要なわけです。事前に先を読み、起こり得る事を想定しながら、それに対してどんな手を打っていくかを書き出して、一つ一つ確実に実行していくことがビジネスの上での要になるのだと思います。

 一見予防には手間とコストがかかるようにも見えるかもしれませんが、あらゆる事柄において、予防する為の手間とコストより、起こってしまってから対処する為の手間とコストのほうが多くかかります。コストだけではなく、思いがけない二次的なトラブルも多く発生しがちです。今後は予防という観点で、先を読み、手を打っている企業とそうでない企業の差がより一層歴然となってくるでしょう。

 次にお話したいのが「オーダーメイド時代」についてです。当社には商品が非常に沢山あるように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、全ての商品には共通項があり、「都市生活の再活性」、「困っている不動産を何とかする」ということが全ての商品のテーマとなっています。当社の事業のすべては「困ったことを何とかする」という理念に基づいておりまして、困っている不動産に何ができるかという観点から商品開発をし、それに客付け力を加えてお客様に提供しております。加えてそれが累積型として積み上がっていく事業であるというのが当社の強みです。オーナー様に対しては、その人が何で困っているのか、どうしてほしいと思っているのかを細かくヒアリングをして、一人一人のオーナー様に合わせた商品提案をしているのが特徴です。「商品ありき」ではなく、「まずお客様ありき」という考え方に出発点があるわけです。このように、当社は、お客様一人一人に合ったオーダーメイドのサービスを提供しているのです。

 一時期あらゆる業種において、業務をマニュアル化することが流行りました。マニュアルは最低限のことを効率的に徹底させるという面では優れていますが、心を入れるという面ではなかなか難しいようです。心の部分の大切さが分かっていないと、単に形だけのものとなってしまいます。よくある「心を込める」ということも、単にマニュアルに記すだけでは何の効果もありません。大切なのは自社の商品を通して、お客様に本当に喜んで頂きたい、もっともっと満足して頂きたいという「想い」なのです。時代の流れから見ても、これからは画一的なやり方ではなく、一人一人のニーズに合わせたオーダーメイドという形が求められるようになるのではないかと思っております。オーダーメイドは既製品と比べてコスト高という思い込みが世の中にはありますが、見方を変えると在庫を抱えなくていいという利点がありますから、総合的に判断するとコストはオーダーメイドの方がかからなくて済みます。当社はこれらの点を踏まえて、お客様に合った賃貸住宅の提供、お客様に合ったリフォーム方法の提案、お客様に合った利回り商品の紹介に力を入れております。また、新商品の考案においてもそのことを基本にしております。これらにおいて何が重要かといいますと、相手のことをより深く理解しようとする想いと、ヒアリング能力なのですね。相手の状況をより深く理解するように働きかけていくことで、よりお客様にマッチした商品を提供できるのです。これまでの考え方ですと、既成のものを何とかして売ろうということに工夫を凝らすということが主流だったと思いますが、これからの時代、そのような方法は段々とお客様のニーズに合わなくなってくるのではないかと思っております。

 これらのことを広く伝えていく為に、私共は今後実践コンサルマネージャー制度というものを作っていくことを考えています。お客様の相談に乗った時に色んな商品の中からお客様に合ったものをコーディネイトできる、あらゆる条件の下でも様々な形で対応できるということを強みとしたコンサルタントの育成を、オリジナルの研修を通して行っていきたいと考えております。

 それから私共の会社で共有している成功の三原則というものがありますので、最後にそれをご紹介して、締めくくりたいと思います。

「成功の三原則」
 一、何とかしてあげたい(何とかする)
 二、すぐ
 三、続ける(あきらめない)
 全てのことは「やるぞ」という気でやらないとダメ
     +経営者は先読み

 当社の社員へはこれを紙に書いて手渡し、毎日朝読んでくるようにと言っています。但し、「やらなきゃ」とか「やらないとまずいな」という気持では進歩は望めず、むしろ退化していきますので、続けることもおぼつかなくなります。「やるぞ!」という気合でこの三原則を実践することで、必ずそれぞれの成功の糸口が見えてくるはずです。私がもし経営の本を書くとしたらこの三〜四行で終わってしまうので、例え出版しても立ち読みで済んでしまうかもしれません。そのくらい成功の要素は非常にシンプルなものです。これをやり続けるということに真の価値がありますから、是非騙されたと思って実践して頂ければ幸いです。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道