安定営業、安定経営 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.51  2004年 03月号

安定営業、安定経営

今回は私なりの感覚、やり方で掴んだ、「安定営業、安定経営」というお話をしたいと思います。当社の話で恐縮ですが、私どもの会社は、一人当たりのパーヘッド経常利益を非常に重視しています。前期十二月末までで、社員数は二十一名で、全ての経費を引いた一人当たりのパーヘッド経常利益が二千三百万円でした。一昨年の末は社員十六名のパーヘッド経常利益が千三百万円でしたので、社員数を増やさずにここまでの数字を挙げていることに対して、驚異的なことだと仰る方もいらっしゃいます。このように当社は非常に少ない人数で利益を上げ、そのことをひとつの指針として経営をしているという特徴があります。

 また、私が経営において何を大切にしているかということをお話しますと、基本的には積み上がるものを大切にしています。また新しい事業を行う時には、テストランの期間を必ず設けるようにしています。例え、これは非常に良いと思ったものでもすぐには拡大せずに、必ず事前に六ヶ月から長いもので二年のテストランを行った後に、いけるなと思ったものに関しては一気に力を入れていくわけです。そのテストランに関しましても、一つの事業に一人の担当者で行っておりますので、経費を最小に抑えることができる、任されたスタッフの力が集中しやすい、非常にノウハウも溜まりやすいという多くのメリットがあります。同時に当社は他社研究を重視しておりますので、他社のノウハウも同時に蓄積しながら進めていくこともできるわけです。

 それから新しい事業の見つけ方というものも、色んな人に会い、インターネットで活きた情報を拾い、様々な本を読み、気になることがあったらすぐに人に聞きに行く、見に行くというやり方をしてヒントを得、スタートを切ります。いい事業があったらその良い部分を吸収するようにしていますが、ただそのまま真似るだけでなく、必ず一ひねり二ひねりして、取り入れるようにしております。その一ひねり、二ひねりはあくまでお客様の視点に立って作り上げるよう工夫しているのが特徴です。そうして作った新しい事業が成功した時にはネットワーク化して、成功事例、失敗事例を共有しながら一緒に事業を進めて行きます。中には通常テストランを十分に行わないでスタートしてしまう方が沢山いるのですね。あるいはちょっとやってうまく行かないとすぐにあきらめてしまう方が多いようです。当社はテストランをしていけると思ったらやり続けることに力を入れます。そういうことの積み重ねによって、パーヘッド経常利益が高い会社に成長していくのだと実感しています。

 これらの要点をまとめますと、積み上がることに重きをおくこと、テストランを必ずやること、人は沢山入れないこと、各事業における担当は一人にすること、あくまでお客様主体の商品構成をすること、絶えず他社研究を行うこと、これらのことを重点的に続けていくことが効果的だと思います。ですから皆さんも現場を見て、自分の事業を見た時に、関心を持ったことはすぐに試してみる、またテストランを行ってみてから最終判断をする、その際のコストは最小限にするということが事業的にも大事なことだと思います。

 確かに今やらなければならないこともあり、なかなか他に目を向けることも難しいのかもしれませんが、自分のやっていることばかりに捉われていると、時代の流れが早いので、今やっていることはあっという間に通用しなくなってしまう恐れもあります。その為にも、二本目、三本目の柱を作っておくことをお勧め致します。

 次に私なりの考えに基づくもので、生意気な意見かもしれませんが、今度は営業の具体的なコツのようなものをお話したいと思います。当社はスタッフがそれぞれ営業目標を作っております。これは皆さんのところでも同じように行っていらっしゃることだと思いますが、当社ではそれと同時に、今月の種まきを行うように指示しています。刈り取ることと平行して種を蒔いていかないと、次月以降非常に厳しい状況を繰り返します。これは農業と同じで刈り取ることばかりに気をとられていると、いずれ刈り取るものがなくなってしまうわけですから、刈り取る側から種を蒔いていかないといけないわけです。このバランスが非常に難しいと思いますが、営業にばかり捉われて、次の手を打たないでいると、次の月もその次の月も苦しくなってしまうのです。常に今月と二、三ヵ月先を意識することがポイントです。また、皆さん年間目標を作っていらっしゃるかと思いますが、何となく作っていらっしゃる方も多いようです。私どもの会社は年間の公表用の目標だけでなく、その上のストレッチ目標を必ず立てるようにしています。

 そして目標の次に大切なのが営業戦略の立て方です。戦術くらいなら慣れてくると何とか各自で立てられるようになるのですが、戦略はなかなか難しいようです。なぜかといいますと、マーケティングができていないからですね。市場の動きを把握していないとターゲットが絞れませんから、当然戦略を立てることはできません。絶えず自分の中で、どの地域にどういうニーズがあるのかということを自分の肌で感じてそれを蓄積していかないと駄目なわけです。戦略が立てられない社員は、当然肝心な種まきのタイミングも外しますから、それを繰り返してしまうと営業としての力は当然低下していきます。例え一瞬成績が上がっても、次の月にはガクッと下がるようなまばらな推移をしていくわけです。なぜ戦略が立てられないのか、その原因はヒアリング力のなさにあるのではないかと考えております。事前にヒアリングや下調べをしておかないと、お客様と相対した時の営業トークがずれてしまい、当初予想していた結果とは全く違う方向に行ってしまうことがよくあります。当社は「打ち合わせ記録」という方法で打ち合わせの時に決まったことはその場で確認をし、確認のサインをもらうように徹底しています(※)。確率の高いやり方で営業をしていかないと、いくらでも手間と時間がかかってしまうのです。営業においては、仕組みを作っていかないことにより、無駄が多く発生してしまってはもったいないと思います。我々はこのような仕組みを活用して戦略を立て、一ヵ月後、三ヶ月後、一年後をそれぞれ見据えたマーケティングを行っております。

 これだけ聞くと、何だか非常に忙しそうに感じるかもしれませんが、このくらいは考えて実行していかないと安定した営業は無理なわけです。先に先にと手を打つことと、先に対する危機感を常に持っていることが重要です。うまくお伝えできたかどうかわかりませんが、何しろ試してみる、やり続けるということがポイントです。以上のことを何らかの参考にして頂けたら幸いです。

※「打ち合わせ記録」は勉強会でも取り上げております。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道