来年の準備 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.61  2005年 01月号

来年の準備

今年もあとわずかです。今回は、来年の準備の話をしたいと思います。

 今年も景気がいいような悪いような、後半で中だるみしたような形でしたが、まだ先行き不透明で非常に厳しいと思います。不動産業界では、非常に安い住宅供給が進んできて、若い人もやや無理をしてオーバーローンを組み、マンション・戸建てを買っています。そのため、賃貸住宅がどんどん空いていく循環が生まれています。それに、ファンドが積極的に買って行くため、不動産は一部上がる現象がでており、実際、高値買いが始まっていますので、お金が余ってダブついている内は、その傾向が続く可能性は十分にあるわけです。

 そんな中で、我々が来年どうして行くかですが、最近考えるのですが、色々な商売の仕方がありますが、言ってみれば犯罪的な金儲けの仕方も増えてきています。さらに、個人情報保護法等施行され、消費者から訴えられやすい、あるいは狙われる可能性もある、非常に企業姿勢というものが問われる年になると思います。テレビ番組等の影響もあり、訴えてやるというのが当たり前になってきていますから、対応する準備ができてないと、あっと言う間に企業が駄目になってしまう可能性がある、本当に企業、自分自身を守るという事は、大変な時代になってきていると感じます。

 そんな中で、商売をうまくやっていきたいと、皆が思っているわけです。私は、いつも原点と思っているのが、利は基にありということと、御用聞きの精神です。我々は困ったところにビジネスありという事を提案しています。実際に、困っている状況であれば、非常に話をきいてくれやすい、また、ある程度価格についても検討してもらえる、という事がありますし、やはり何とかしたい、何とかしてあげたいという、御用聞きの精神で、お客様のニーズを掴んだことが、今の私たちの会社の礎となっていると思います。これからもそれは変わらないと思います。そこから進化して、商売というのは、納得いかないことや、あるいは気に入らないというところに着目する事が大事だと思います。我々の商売では、ビルが空いてしまう、土地をうまく使いたい、使えるところを探したい、何とかしたい、してあげたい、それをおせっかいという言葉で表現しているのですが、何とかしてあげたいと行動した結果が、私たちの会社にはあると思います。その気持ちがあるが故に、非常に確度の高い仕事になっていっていると思います。

 私は、不動産業界、管理業界の次のあるべき姿には、地域の情報産業というテーマがあると思っています。なぜかというと、私は、多少商売がうまいようにみられたり、金儲けがうまいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私が絶対に敵わないのが、各地域の情報です。各地域の不動産会社の方たちが、当然一番情報をもっていると思います。その中で、店舗だろうが倉庫だろうが、自分で借り上げて、貸す、あるいは土地も借り上げて貸す、事務所もそうですが、物もそれに付加価値を加えてから、貸すという、いってみれば、固定資産税を払わない大家さんになっていくという事はすごく重要だと思います。それらを積み上げていくことで、非常に安定した企業になっていく、やはり、売買したり、仲介したり、だけでは、非常にエネルギーがいるわけです。そして経費もかかります。それらに特化する方法ももちろんあるわけですが、私は地域の情報に特化しながら、その固定資産税を払わない大家さんになっていく事が、非常に重要な気がしています。

 私は毎月、時代を読むと題して、様々なことを皆さんに語りかけているわけですが、正に、時代を読むのは大事なことです。例えば、ファンドというのは、お金が集まってきますから、物を買わなくてはなりませんので、どうしても、多少の無理が発生する可能性がある、そういう背景では、私達はファンドが買うような物件には手を出してはいけないのではないかと考えるわけです。逆に、自分の持っている物件で、ファンドが欲しがるのであれば、どんどん売っていった方がいいとも思います。そうなると、私達は、ファンドが買わないような物件にどう着目するか、ましてや、来年からペイオフも実施される中で、日本でもお金というものをどのように運用するのかが、それらをどう理解するのかが、大切になってきています。株もインターネットで取引が出来るようになり、身近にはなってきましたが、やはり難しいところがあります。不動産投資に関しては、やはり借り手がいるところ、駅から遠くても安くして貸せるところ、そのあたりに発想を絞り込んだものが必要なわけですが、そういう意味で私は不動産に安定性を感じます。それが駅から遠いとか、だれも欲しがらない物件であれば問題ですが、逆にすごく安くすれば決まるものであれば、もつ価値があるかもしれません。これから給与の格差も開いていくと思いますが、年金もきびしいとなれば、気になるのが蓄えを何でもっておくのか、という事だと思います。

 これからは、安いから借りる、買う、あるいは使うとか、あるいは高くてもいいから使うとか、それぞれに合わせたものを作っていく事が大事で、中途半端に、あちこちの人が使えるという発想のものは駄目なような気がしています。これからの時代はターゲットを絞るという事が非常に重要になっていきますし、さらに何に困っているのだろうという発想で、あくまでもお客様を主人公にしていく、原点に戻ることが肝心です。今のスピードもとてつもなく速いといっておりますが、世の中の速さに私たちもようやくついていっている状態です。そのスピードのある時代に、どんどん自分たちを変えていくという事も必要なのですが、原点をもっていないと、いくら変わっていったとしても、場当たり的な対応になってしまうと思います。これを読まれている方の仲には不動産管理業の方も多いと思うのですが、お客様は何を望んでいるかという原点をしっかり見定めておく事が必要で、自分たちの都合のいい事ばかりやっていると、全てしっぺ返しがくると思います。自分の屁理屈をつけて、自分は正しいと思い込んでいると、とんでもないことになってしまうと思います。これからは、何とかしてあげたい、何とかしてお役に立ちたい、何とかならないかと、そういう具合にお客様に真剣に接する、まさしく、真剣勝負、真剣に戦う、真剣に話すということが重要になってきています。テクニカルにやったことは簡単に崩壊していくと思います。

 私の場合は、毎朝自宅のトイレを自分の手で掃除しているのですが、原点にもどるという点では、そういったことでもいいと思うのです。何か、ひとつでも自分の中で原点的な行動をつくって、それをベースとして、そこからずれないようにしながら、やっていく、その辺りが自分の来年の準備につながるような気がします。例えば、自分がなぜ不動産屋をめざしたのか、そういうことを含めて、もう一度原点とは何だったのかを、何かひとつ毎日続けることを決めることをお勧めします。

 前にも書いたのですが、私どもには成功の三原則というものがあります。まず第1に、何とかしてあげたい、第2に、すぐ、そして第3に、続ける(あきらめない)というものですが、これを続けられる人が中々少ないのです。これを毎日こつこつ続けることで、原点にもどって、ぜひいい年にしていただきたいと思います。

 ある意味で、2005年は面白い年になると思います。色々な意味で、事が動く、もしかすると、株価が持ち直し、好景気があるかもしれませんが、その、しっぺ返しも次にはあるでしょうし、好景気にならなければ、それなりに、ビジネスを見直すことも必要でしょうし、色々な答えがでてくると思います。

 来年、2月号では、具体的な私の方針も記載したいと思います。よいお年をお迎えください。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道