営業組織の考え方 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.66  2005年 06月号

営業組織の考え方

今回は、総料理長という話をしたいと思います。営業の仕組みということなのですが、これを考えている会社は意外に少ないのではないかと思い、私どもの会社を事例としまして、お話ししたいと思います。

まず、普通の会社をホテル等のレストランに例えると、コック達の上に総料理長がいて、他に皿洗いの方や、仕入れ担当の方がいます。それをひとつの会社組織で見た場合、当社では、総料理長は私で、コックが中堅幹部になり、その他、皿洗いや仕入れ担当の若手がいます。材料、つまり情報がどういうものであるのか、コックが判断できないと、おいしい料理はつくれません。私どもの会社でいえば、コックの立場に立ち食いそばやのレベルや、少なくともイタリアンのみであれば星がつくようなレストランのレベルもいます。これは単一商品であれば料理できますが、フランス料理、中華料理、あるいはベトナム料理など、そういう様々な形に材料、つまり情報を加工できる能力がないために、材料が腐ってしまったり、あるいは皿の洗い方が甘いためにできあがった料理がおいしそうに見えない等の課題があるわけです。優秀で、将来コック、総料理長となっていく人達は、皿をなめてみたり、味を確かめながら、それらを盗んで、志をもって、どんどん上にあがっていくと思います。材料仕入れも、いい仕入れをしよ うという人間は良くなるのですが、まずは、コックがその材料を一瞬にして吟味できる、そういう仕組がないと困るのですが、当社においてもその部分の甘さがでている気がしています。

要するに立ち食いそばしか作れないコックは、その価値判断内で、これはダメな材料、あるいは高い等狭い範囲で物を決めている為に、情報が情報として活かされない状況も出てきていると思います。私達は特殊な商品も扱っているので、かなりの量の情報も処理できているのですが、現実にはさらに活かせる情報が何十倍もあると考えています。規模の小さな会社であれば、総料理長兼コック、兼仕入れ担当という形でしょうから、情報は100%活かされていて、よほどスムーズに情報を扱っていると思います。

ところが、会社の規模がだんだん大きくなると、情報がその入口部分で閉ざされてしまい、材料吟味がきちんとできていない状態が増えてきているのではないかと思います。本来、こういう材料はこう見るんだ、この場合には、こういう加工があるんだという、色々な処置があるわけです。その事をしっかりと教えていかなければならないと思い、最近は毎朝物件情報を全て持ち寄り、料理の仕方についてひとつひとつ説明していく、勉強会を始めています。

私も営業というものは仕組み化できず、一部は根性論等で考えていましたが、ケーススタディを何十、何百通りも集めることで、それを仕組みにできると思っています。私自身が今まで営業をやってきたケースを含めて、総料理長として現場に立ち、材料の見方、材料の処理の仕方を徹底的に伝えてみたいと思います。この2ヶ月ぐらいをかけて、情報の加工ができる仕組みというのをつくろうと考えています。

おかげさまで、直接のお問合せやご紹介もかなりの数をいただくようになっており、情報はとにかく沢山あります。困っているところにビジネスあり、という事で、非常に多くの方からご相談をいただいているのに、簡単にこれはダメだとか、こういう形でないと無理だとかいう状況は避けなければなりません。高ければ安くなるよう交渉すればいいことですし、あるいは情報が不的確であれば、正確に洗いなおす等、コミュニケーションも非常に大事になってくるわけです。

私は常々それらを教えてきたつもりだったのですが、結果的には、毎回同じ事を教えなければならず、やはり加工の仕方というのはケースバイケースで、300程度のレシピができ、それを何とか分類すれば、30〜40のパターンにできるのかもしれません。マニュアル化でなく、営業に関する気配りの仕組み、これをつくっていきたいと考えています。例えば、情報を集めるにあたっても、ただ単に情報をくれというのは難しいかもしれません。あるいは、信頼関係をつくるにも、その関係をつくる仕組みというのが必要かもしれません。従来のフランチャイズ式のマニュアルではなく、さすがだな、まいったな、感動したな、というものを組み込まなければならないと思います。それは、手書きのFAXであったり、手紙であったり、営業するにしても、何となく時間が空いたから営業するのではなくて、この時間にはこういう事をして、引き続きこれは定期的にやっていく、等の仕組みにしていかないと、当然ビジネスにはならないと思います。

ある意味の大手病というか、そのような傾向は避けたいと思いますし、ましてや、そういうタイミングでこそ、現場に立って、全部見直し、やってみる必要があると思います。ある程度の規模になった会社は、情報は、ある意味腐ってしまっているというケースが往々にしてあり、それは考え方として、あらゆる業種に通じるものがあると思います。全て仕入れが命といいますが、情報を集めてくるスタッフの仕入れに対する考え方、捉え方を具体的に教えているケースはあまりないのではないでしょうか。ただ何となく探している。見つかったものに対しては、それは高いとか一言で終わってしまう。やはり、具体的にポイントを教え、それが定期的にずっと続けられるような仕組み、これを是非やっていきたいと思っています。

たぶん不動産業界では、新しい貸し方、古い貸し方、その併用、などいろいろな方式が入り乱れてくると思います。そういう中で、それぞれの地域にどういうことがしてあげられるだろうかということを基本に、いい情報、的確な情報が入る仕組みをつくり、ある人がやめたからどうとか、特定の人に頼るような状態でなく、他の人がそれなりにできるという体制にすることが必要です。さらに私がいま考えているのが、パートの方、嘱託、学生アルバイト等の方も、効果的に営業ができる仕組みづくりです。これからもコストはますます重要になってきますし、それらの勤務形態の方をどう集中的に有効に活躍してもらうかもひとつのポイントになってくると思います。そういう役割の方に交代で週3日等で働いていただき、そこに生まれた時間で社員は有効に頭を使う、そうして、コックになり、いずれは総料理長になるという、道も開けやすくなると思います。常に皿洗いや、仕入れなりの役割で寝る間も惜しんでずっと働いているようでは、当然そういうレベルにはなれないと思います。そういう仕組みも含めて、情報の取り方、判断の仕方をこの2ヶ月でつくってみますので、私達の商品も皆さんのお役に立つことが結構あると思います。ぜひ完成を楽しみにしてください。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道