なぜ日本は外資に負けるのか - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.91  2007年 07月号

なぜ日本は外資に負けるのか

 今回は「なぜ日本は外資に負けるのか」というテーマでお話します。
私自身、IR活動で機関投資家様を訪問して感じるのですが、外資系の企業はその場で直ぐ買う、買わないの判断をします。日本の企業は、「わかりました。検討します。」というように社内で打合せ、稟議をかけて答えを出すまでに1、2週間かかってしまいます。当然、その間に市況は変化しますから、株価が上がってしまって買えなくなることもあります。外資系の企業は社員に権限委譲をしており、判断のスピードがまったく違います。当然、責任も大きいのですが、緊張感を持って仕事をしている社員はどんどん成長していきます。逆に失敗すればチャンスが無くなるようになっております。役員会も24時間、大事な案件は夜中に集まってでも必ず結論を出すという感覚があると思います。先日、金融に詳しい方にお話を聞いたのですが、ここ15年の間、アメリカとか中国は、あらゆる面で伸びているそうです。しかし、日本の金融はマイナス成長。私が思うに、これはスピード、判断の差ではないのかと。

 不動産の購入に関して言えば、私どもの判断も早いと言われます。私どもは、現地で物件を見たら、まずその場で返事が出来るように真剣に物件回りをします。どうしても判断がつかないときは、3日以内に結論を出す約束で、まず募集を止めてもらいます。その間に、全ての調査をして結論を出しています。判断に時間がかかればいいものは買えなくなる。外資の企業は、ビジネスチャンスというものをもっとシビアに考えていると思います。

 イギリスのウィンブルドン現象のように、日本も世界の中での日本という視点で考えて行かなければなりません。もっと外資系の企業が入って、刺激を受けることで判断基準もスピードも変わると思います。私は常にスピードが重要だとお話しておりますが、それがわかっているのが外資系、よくわかっていないのが日本の企業です。チャンスは一度逃すと次は無い。そのような意識で仕事をやらなければなりません。なぜこれほどしつこく話すかというと、IT産業が発達し、一瞬にして世界に情報が届くようになっていますから、判断も早くしなければ勝ち残れません。これからは外資系の企業と同じスピードに対応できる社員が必要ですし、外国の人たちも採用していかなければならないと考えております。

 企業によって差はありますが、日本はどちらかというとおとなしいやり方で成長してきました。ですが、これからはそれでは勝てない。外資系の企業とも同じ土俵に上がって勝負できる会社にならなければなりません。私も今、「必ず結果の出るシステム作り」ということをやっています。マニュアルのように形式だけ整えたものではなく、本当の意味で気配りをする、スピードを増すという発想を取り入れ、気遣い、センス、スピードというテーマを組み入れて、社員が成長できる仕組みを考えております。外資系はホテル経営もシステマティックなわりにはセンスが良く、気遣いもスピード感もあります。日本が本当に世界に通用する為には、全く考えを改めなければいけないと思います。

 外資系というと、良く思われない方も多いのですが、もっと受け入れて、切磋琢磨していくことが大事です。日本は比較的治安が良く、サービス力、学力ともに安定しておりますが、本当に一流だといえるのは一部に過ぎないと感じます。学ぶ精神が長けている人種でもありますので、これからも世界的に飛躍できる国だと思っております。外資の良い部分を受け入れ、吸収し、スピード、センス、気遣いを重視し、劣っているものの原因を分析、改善して、これからも成長し続けていこうと思います。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道