究極の不動産業 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.156  2012年 12月号

究極の不動産業

 今回は、「究極の不動産業」というテーマでお話します。

 まず、最近の不動産市況についてですが、非常に混沌とした状況になっています。その要因の一つとして、優良物件の減少により分譲業者が高めに物件を買い始めた為、在庫が増加していることが挙げられます。また、金融が緩んでくる傾向にある為、不動産企業の株価が上がって来るなど、非常に危険な状態になりつつあります。それに加えてモラトリアム法、いわゆる返済猶予制度が来年の3月で切れる為、その影響がマーケットの中に出ると予想されます。

 もう一つの要因は、ファンド関係の会社が、撤退も含めて整理を行うことが考えられ、それにより金融が緩んで来ると思われます。その時がターニングポイントになる可能性もありますが、物件不足でも商売をしないといけないからと、高値買いをすることが非常に危険であると感じています。
 その為、今の市況に対して敏感になり、在庫増加や物件価格の高騰など慎重に判断する必要があります。年度末での投げ売りなどに敏感に反応し、冷静さを失わないことが一番正しいと考えます。

 こうした市況の不動産業界ですが、一口に不動産業と言っても賃貸や分譲、売買などたくさんの業態があります。その中で安全で手堅く、成長する事業を順位付けしていくと、手前味噌にはなりますが、当社のストレージ事業は高順位だと思います。なぜならストレージ事業はストック型ビジネスで手堅く、世界のマーケットを見てもまだまだ需要があり、少人数でも運用出来るなど、リスクが非常に低い業態にあるからです。

 それから当社で行うビル事業も、頭金3割で15年ローンという条件を付けており、多くの頭金で長期借入が出来るのであれば、高順位になるでしょう。また、当社のオフィスや貸会議室事業も出来高制で行っているので、安全性が高く、今後伸びていく分野なのでこれも高順位になると思っています。

 また、「貸地」というビジネスを行っている会社を知っていますが、この事業も高順位だと思います。その会社は7、8人程度の小さな規模で、経常利益1億円ほど上げている手堅い会社です。貸地も地道なストック型の事業ですが、非常に良い結果を出しています。

 手堅いという点では不動産賃貸管理業は非常に良い事業です。ただし、人件費に比べ利益率が高くないことが欠点となります。その為今後、時代が変わった場合、地域でナンバーワンにならないと厳しい業態でしょう。また、集客力が強い会社に優先権が取られていくという意味では、これから非常に大変な時代を迎えることになります。逆に強いところはより強くなり、弱いところは一気に衰退するということです。

 私は、ストック型で人件費が掛かりにくい事業が評価としては高順位であり、人を多く使う業態は苦戦すると考えます。また自己資本比率が高くなる仕組みづくりというのが大切になるので、お金が残る、要するに、減価償却をうまく使った経営が必要です。

 是非、不動産業をもう一度冷静に見て、自分たちの十年後、二十年後、更には百年後が考えられることが重要です。非常に勝手なことを申しましたが、不動産業とは何かということを改めて考えることが大事な時だと思います。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道