シリコンバレーのグーグル本社の視察を通じて - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

  1. HOME
  2. >
  3. 時代を読む

VOL.202  2016年 10月号

シリコンバレーのグーグル本社の視察を通じて

今年も9月上旬に渡米し、ストレージ業界の視察を中心とした出張に行ってきました。全米のセルフストレージ業界の各事業者が集うカンファレンスに参加したり、全米第2位のエキストラスペース社の本社を訪ねたり、サンフランシスコでは、IRの一環で現地の機関投資家の方々ともお会いしました。また、かねてより、エリアリンクでは従業員の能力開発に的を絞った人事制度や仕組みを導入してきましたが、従業員が創造性を発揮して働いているという観点で、当社も手本としていきたい企業であるGoogleの本社も訪問しました。この視察は今回の渡米でもっとも印象に残るものとなりました。出発直前に日本のGoogle支社を訪問しましたが、双方のオフィスで素晴らしい視察ができたと感じています。
 Google本社には木曜日の16:30に着きました。まず目に飛び込んできたのは、思い思いの時間を過ごす従業員の皆さんの姿です。まだ明るい時間帯でしたが、ある人はビールを片手に仲間と語らい、ある人は中庭でビーチバレーを楽しみ、また本格的なマウンテンバイクに乗って、帰路に着く人もいます。オフィスの共用部に置いてあるピアノを演奏する人もいました。その姿をみて感じたのは、集中して仕事をし、メリハリのある生活を楽しんでいるということです。人生そのものを楽しんでいるような印象を受けました。
  本社のあるエリア一帯にGoogleのオフィスが点在しています。とても広大なエリアなので、至る所にGoogleのコーポレートカラーの自転車が置いてあり、200棟以上あるというオフィス棟を自由に移動できるような仕組みになっています。敷地内にはGoogleが開発したプラットフォーム「アンドロイド」のキャラクターのロボットが置いてあったり、あるオフィス棟のエントランスの天井からは大きな宇宙船が吊り下がっていたり、遊び心があふれる空間が広がっていて、あらゆる意味で創造力を働かせる環境が整えられていると感じました。執務スペースも、ミーティングスペースも、徹底的に「考える環境」が整えられているということです。
  ミーティングの仕方にも特徴があるように感じました。基本的に打合せは30分単位だというのです。エリアリンクの慣習では、打合せは1時間の場合も多く、また、ときに答えがでないまま終わるような会議も多いように感じています。それぞれの参加者が事前にきちんと準備して、限られた時間で集中して行う会議こそが意味があると思うのです。この30分単位の打合せに関しては、早速、わが社でも取り入れられる点を考え、実行策を練っています。
  Google本社の敷地内やオフィスエリアは、日本の方にご案内していただきましたが、その方からも印象的な言葉を聞きました。「自分よりも優秀な人しかいないので、日々、手を放したら死んでしまうような険しい崖を登っている気分です。そんな緊張感もありますが、毎日、楽しく働いています」というのです。一説には、Googleは応募者に対して0.25%しか採用しないといわれていますが、そのような狭き門を突破した彼の言葉には重みがあると思います。私は、あらゆることを考えに考え、頭が爆発しそうになることがあるのですが、「頭が爆発しそうになったことはありますか?」と聞いたとき、「ありますね」と、さらりと答えたことも印象的です。それだけ集中し、緊張感を持って、また、頭をフル回転させて仕事をしていることの証拠だと思うからです。
  エリアリンクは不動産業の会社です。当社の従業員が、Googleに入社できるような素地を持っているかどうかと問われれば、普通の人が多いと思います。しかし、普通の人でも、きちんと愚直に努力を積み重ねれば、他の会社の従業員や、ひいてはGoogleの社員の皆さんにも負けないような才能を開花させてくれると信じています。エリアリンクはリーマンショック以降、「給料が高くて、残業が少なくて、休みが多い会社」という一見、矛盾したような企業像の実現を目指しています。この企業像の実現は私自身にとっても大きなチャレンジでありますが、エリアリンクで革命を起こすという気概を持って、経営に邁進していこうと襟を正すような視察となりました。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道