進化外注 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.201  2016年 09月号

進化外注

エリアリンクは10年後に「従業員200人で経常利益100億円を実現する」という高い目標を掲げています。少ない従業員で効率よく利益を生み出す体制を目指して、最近スタートした仕組みが「進化外注」です。「進化外注」は造語ではありますが、これからのエリアリンクの核になっていく言葉だと思っています。
  「進化外注」を具体的な例でご紹介します。
  当社のハローストレージのコンテナ現場の清掃をしている外注先があります。この企業には、週に100現場の清掃を発注しています。従来、当社の従業員が、それぞれの現場がきちんと清掃されているか、全ての現場を巡回してチェックしていました。一方、ハローストレージの出店は積極的に進めていますので、将来、物件数が増えた場合を考えると、すべての現場に足を運び、チェックするやり方は、新しく従業員を増やさない限り、現実的ではありません。従業員200人で100億円という高い目標がありますので、私は将来を見据え、従業員を増やさなくてもできるやり方を考えて欲しいと当社の担当者に指示を出しました。そこで出てきた案は、「巡回のルートを工夫してもっと早く巡回できるようにする」というものでした。これでは多少の時間短縮には繋がるでしょうが、抜本的な解決には至りません。
  私は、外注先の企業と直接、話をする機会を設け、新しいやり方を考えました。外注先の企業はもちろんプロですので、すべての現場をきちんと清掃してくれているはずです。そう考え、「100箇所、すべてをきれいに清掃してもらっているという前提のもと、エリアリンクは3箇所の現場をランダムに回り、その内、1個所でも、きちんと清掃されていなければ、費用は一切、支払わない。」という取り決めにしたのです。これならば、当社の巡回の労力は100分の3に減り、将来的に物件数が増えたとしても、今の人員でも対応できるでしょう。
  一見、厳しい取り決めのようにみえるかもしれませんが、外注先の企業にも良い影響がありました。まず、ランダムにチェックされるというプレッシャーから、彼らの清掃のレベルが2段階くらい上がりました。更に、きれいに清掃されたエリアリンクのコンテナ現場をみた他の事業者から「当社の現場も清掃してほしい!」と発注があったというのです。この例では、エリアリンクの業務効率化と、外注先の企業のレベルアップ、受注件数アップが同時に実現できる結果となりました。
  現在、総務や経理においても、一部の業務を外注していますが、外注化が単なる「作業の丸投げ」であるのであれば、意味のないことだと思います。ここでも「進化外注」の考え方に基づいたやり方を取り入れています。
  例えば、総務であれば、外注先、従業員の双方が成長できる流れを作っています。具体的には、総務の仕事を25項目に分け、それぞれの目的を具体的に共有しています。その上で、総務のプロである外注先に、現状の目的達成度を10点満点で採点してもらうのです。具体的には、「営業車の管理」という業務であれば、「従業員が安全・安心・きれいに使えるようにする」という目的に対し、今のエリアリンクのレベルは3点と採点されたとします。そうしたら、それを4点、5点、そして満点をとれる「営業車の管理」をするためにはどうしたらいいのか、外注先と従業員、双方に提案しあい、業務を改善していくのです。こうすることで、従業員は外注先のプロのやり方を知ることができますし、外注先は自社のレベルアップや、請負業務の拡大にも繋がります。
 近い将来、人材の獲得が一層と難しくなる時代が訪れるでしょう。そして、日本の競争力を考えれば、どの企業に属していたとしても、今よりも一人一人が業務改善を重ね、効率よく働くことが求められていきます。多くの企業が何らかの形で外注化を取り入れていると思いますが、日本の競争力を向上させるためにも、単なる作業の丸投げではなく、従業員と外注先の企業、双方の成長や進化に繋がるような外注化の在り方を、この「進化外注」を通じて感じ取っていただければ幸いです。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道