私の未来の企業のあり方 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.204  2016年 12月号

私の未来の企業のあり方

エリアリンクでは10年後に社員200人で経常100億円という高い目標を掲げています。目標の達成には、今まで以上にそれぞれの社員が仕事の効率や精度の向上に励むことが重要になります。日本の企業とアメリカの企業を比較すると、働き方の合理性・効率性に関して言えば、日本の企業は弱いと感じています。
  そもそも、責任者の仕事とは「部下の結果を出すこと」「部下の能力を最大限に発揮させること」です。ところが日本の企業を見るに、データを作ったり、数字や書類のチェックをしたり、机に向かってなにか作業をしていることを仕事だと思い込んでいる節があります。残念ながら、わが社でも責任者クラスの社員たちが「作業=仕事」と思い込んでいる節があり、荒療治といわれるかもしれませんが、2ヶ月ほど前より、責任者の机と椅子をなくし、作業ではなく頭を使う仕事にシフトするように促しています。本来、仕事とは、机や椅子がなくても進められるものなのです。柔軟な発想で、自分の部署の未来、そして会社の未来を考えられるクリエイティブな人材が増える環境を整えたいと思います。
  これからの時代は、作業を担当する人員には、オフィスではなく、在宅で働いてもらうという選択肢も一般化していくでしょう。ITの技術がこれだけ進歩していますので、オフィスでなくても作業は進められます。加えて、働く側にとっては通勤時間の短縮になり、雇用者側にとっても、人員の増減に伴ってオフィス環境に頭を悩ます必要もありませんので、合理的な働き方だと思います。当社でも先月よりいくつかの部署で在宅勤務のパートスタッフを雇用し、テストランを始めています。
  他にも定年を迎えてリタイアした60歳以上の方々には、地場の不動産業者を訪問するコンシェルジユとして働いていただいています。コンシェルジェの方々は絶えず業者を回っているわけですが、その仕事ももっと効率化されるべきだと考え、GoogleAppsやセールスフォースなどのクラウドサービスを導入しています。具体的には、前回の訪問から時間が経っている“訪問すべき”不動産業者が一目で分かるようになっていたり、適切な訪問頻度を分析するなど、営業活動の質と効率を向上させる策を絶えず講じています。社員は自分が担当する“作業的な仕事”を減らし、コンシェルジユの方々にそういった仕事をお任せする分、コンシェルジユの皆さんが効率よく動けるように、気を配ったり、企画を練ることに時間を割き、一人では得られないような成果を上げられるようになっていくべきだと思います。
  日本の企業文化の負の側面を変えたいと考える一方で、日本の企業文化の良いところは積極的に伸ばしていきたいとも思っています。日本の企業文化の良いところは、従業員同士の関係の深さでしょう。わが社でも泊まり込み研修や社員旅行、保養所でのイベントなどに力を入れていますし、今後は従業員のクラブ活動も推進していきます。
 私は、こういったコミュニケーションに裏打ちされた日本の企業文化の良さと、合理性を優先したアメリカの企業文化の良さを組み合わせれば、どこにもない素晴らしい企業になれると確信しています。アメリカ発祥のセブンイレブンは日本での展開後、本国アメリカにはない物流システムや商品構成で独自の進化を遂げ、ついにはアメリカのセブンイレブンを傘下に収めるほどに成長しています。セブンイレブンの事例は、ビジネス的な側面の強いものですが、業績への影響が間接的である企業文化や風土などの側面においても、同様の例は起こり得ると思います。企業とは、どんなときでも「人」が主人公です。その視点を大切にして、「エリアリンクのような企業を目指したい」と皆さんに言っていただけるような“人が活きる”企業になるべく、今後もスピード感を持って試行錯誤を続けていきたいと考えています。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道