第3の創成期 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

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VOL.205  2017年 01月号

第3の創成期

12月12日、秋葉原UDXビルへ本社を移転し、同時に埼玉・神奈川・千葉などの営業拠点も新オフィスに集約しました。今回の移転はエリアリンクにとって、第3の創成期となる大きな転換点だと捉えています。
経営者として振返ってみれば、第1の創成期は、1995年のエリアリンクの創業後の数年間でしょう。2003年にはマザーズへの上場を果たし、会社の規模も徐々に大きくなっていきましたが、ときには会社に泊まり込むような社員もいましたし、長時間労働が当たり前の文化でした。「力技で仕事をしていた」という表現がぴったりかもしれません。
  第2の創成期は、2008年9月のリーマンショック後の時期です。当時は280億円もの負債を抱えるなか、ストレージを主軸とした事業展開に舵を取ったタイミングであり、同時に社内では、様々な教育制度や仕組みの導入などの改革も進めていきました。時間はかかりましたが、事業変革と社内改革、双方の成果が少しずつ表れ始め、業績や財務体質も徐々に改善していきました。
  そして、第3の創成期が今、始まったと思います。今回の移転は、従業員の新しい働き方を実現するための最初のステップです。エリアリンクでは、10年後に従業員200名で経常利益100億円という高い目標を掲げています。一方で従業員にどんな会社で働きたいかを聞いて定めた「給料が高く、休みが多く、残業が少ない」企業を目指しています。結果も出して、効率よく働くためには、作業ではなく頭を使う「頭脳労働型」のワークスタイルが不可欠です。
  新オフィスには、様々な狙いと遊び心を散りばめました。特徴的なのは、ラウンジとカフェのスペースです。これらは、発想力や先読み力が試される頭を使う仕事は、机でパソコンに向かっていてもできないという私の実体験に基づき、新たに設けたエリアです。
  ラウンジは責任者専用のエリアです。美味しいコーヒーがボタン一つでできるコーヒーマシーンや軽いスナックを用意して、リラックスを促しつつも、責任者が頭を使う仕事に専念できるスペースにしてあります。一般の従業員が仕事をする執務エリアとラウンジは壁で隔てられていますので、ラウンジから部下やスタッフに指示をだし、自分はブレーンとして業務を進められるような働き方をする必要があります。私は数年来、オフィスに出社するのは月曜日から水曜日の午前中と決め、時間と場所に縛られずに仕事ができるよう、工夫を重ねてきました。ラウンジのような環境を作り出すことで、責任者たちはその場にいなくても仕事が進むように試行錯誤をするでしょうし、ゆくゆくは私のように世界中どこからでも仕事ができるような人材に育っていってほしいと考えています。
  カフェは全員が使える場所になっています。こちらにはポップな色使いの家具を配置し、眺望も楽しめるようなレイアウトにしています。気分や発想を切り替えたいときにこのエリアを積極的に使うように促し、全社的な「頭脳労働型」ワークスタイルへの変革を実現していきたいと思います。
  他にも受付エントランスには2.3m×4.1mの大きな液晶画面を設置しました。季節にあわせて、オーロラやハワイの海など世界各地の映像を流し、臨場感が溢れる演出でお客様をお迎えします。また、ここには軽い打合せができるようなリゾート風の家具も設置していますので、従業員にもこういった空間で仕事をしてもらうことで、場所と時間にとらわれず働く感覚を疑似体験してもらいたいと思います。また、全部で15の会議室・打ち合わせスペースには世界遺産の名前を付けました。私には、過去を大切にしつつも、絶えず進化を遂げていきたいという思いがあります。「温故知新」という言葉がありますが、長い時間をかけて培われた文化や自然が選ばれる世界遺産にそういった願いを込めています。
  エリアリンクは、今、第3の創成期を迎えました。私は、効率性を重視するアメリカの企業文化と、人材を育てる温かみのある日本の企業文化を組み合わせれば、どこにもない素晴らしい企業になれると確信しています。皆さんのお手本になるようなエリアリンクを目指し、精進してまいりますので、どうぞご期待ください。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道