VOL.307 2025年 3月号
今回は、私の人生観についてお話します。
私は人生、仕事、家族との関わり方、それぞれに明確なビジョンを持っています。
人生をどう生きるかという問いに、明快な答えを持てる人は少ないように思います。それは少し残念なことです。明確なビジョンがなければ、達成のための具体的な計画は立てにくく、いつまで経っても理想の人生に近づけません。
人生というと壮大でビジョンを描きにくいかもしれませんが、私は「どういう人生を送りたいか」「仕事で何を達成したいか」「どういう家庭・家族を築きたいか」と分けて考えています。このように分けることで考えやすくなり、ビジョンが明確になり、具体的な計画も立てやすくなります。
とはいえ、どの年代においても人生・仕事・家庭、すべてが順風満帆だったわけではありません。若い頃から仕事人間でしたから、子供たちをお風呂に入れたこともないですし、運動会にも行っていないひどい父親でした。最近になって家族との向き合い方を見直し、ようやく距離が縮まってきたところです。すべてが常に思い通りとはいきませんが、家族に関する明確なビジョンがあったおかげで、時間をかけて良い方向に進んでいると感じています。
自分の人生については、「夏は涼しい土地で、冬は暖かい土地で、それぞれの土地の一番良い季節を楽しむ」ことを大切にしています。理由はいくつかありますが、その時々で滞在している人たちが総じて幸せそうに見えることが大きいです。春・秋は京都で過ごしますが、桜や紅葉が見頃の時期は、人々がとても満足そうに街を行き交います。幸せそうな人たちに囲まれているという幸福感があるのです。仕事の付き合いはほとんどありませんが、地域で知り合いを作り、食事の機会を通して情報交換をしています。また、毎年同じ時期に同じ土地に滞在するため、世の中や経済の変化に気づくことができます。例えば、一口に外国人観光客が増えたといっても、地域によって特徴があり、東洋の方が多い、欧米の方が多いなど様々です。
そして人生においては、「毎日一生懸命に生きる」をテーマにしています。夜の食事と晩酌は、その日精一杯頑張った自分へのお駄賃です。嫌なこともありますが、そこから何かを必ず学ぶという意識で、反省も一生懸命行います。私たちは明日の朝、今日と同じように目覚めるかどうかさえ分かりません。死ぬときに「良い人生だった」と思えるような後悔のない人生を送ろうとするなら、毎日一生懸命生きることは必要不可欠だと思います。
そうして年を重ねてきましたが、最近新しく夢を持ちました。「こうなりたい」という想いがある一方で、すでにそれが可能になるという予感もあります。今までたくさんの夢を描いて叶えてきたからかもしれません。70を超えましたが、新しい夢を見られること、そして新しい感覚で夢を追えることを嬉しく思います。夢を追いかけるのに年齢は関係ないのだと改めて痛感している次第です。
とりとめのない話になりましたが、今回の「時代を読む」が、皆様のお役に立ちましたら幸いです。