特化する事 - エリアリンク株式会社

林尚道の
「時代を読む」

  1. HOME
  2. >
  3. 時代を読む

VOL.81  2006年 09月号

特化する事

今回は特化する事というテーマでお話しします。私自身、バブル時代を経験していますが、今年の5月から7月の不動産の動向からみても、大きな流れがきていると思います。

 バブル崩壊後、不動産価格が下落し、今は徐々に上がってきています。これにより利益がでるところもあると思いますが、それは結局不動産の値上がりがあるから利益が出て商売ができているだけであり、それを才能とかアイディアと言っているケースが多かったのではないでしょうか。これからは不動産価格の変動に左右されないビジネスをするべきだと思っています。考えてみると私は、不動産業に関してはもちろん得意分野ですが、多少器用なところがあって、不動産が低迷したときは一度不動産から離れて、別のビジネスをやろうとしてきました。ただ今回は逆に、得意分野にもっと集中してやらなければならないと考えています。

 私は、新卒で不動産業の会社に入社し、賃貸の案内、穴掘り、旗立て、建築受注、分譲、海外不動産と、あらゆることを原点からやらせてもらった現場上がりの人間で、それを全部やらせてもらえたのは非常に幸せな事だと思っています。その経験、能力をフルに活用して、先ほど述べた、不動産価格が下がってもビジネスができる仕組みをつくらないとダメだと感じ、この分野に集中しようと思ってからは、色々なアイディアが出始めています。

 私共は、空いたスペースを有効活用し、収納スペースのストレージ、コインパーキング、SOHO、貸し店舗など、内装、設備に対する投資利回りが20〜30%の様々な高利回り商品を作る事ができました。また、不動産を購入しても、私たちのノウハウ、商品力、集客力、企画力をもって運営すると、10%以上の利回りをあげる事が可能です。不動産の価格が下がる中でも、スペースの使い方で投資利回りを高くすることもできますし、賃料が下がれば安く借りられますから、また新しい商品を作る機会にもなります。そうなると、これから本格的な不動産価格の変化に関係なく我々のビジネスは広げていけます。

 今までは時代の波にあわせ、不動産業界が悪いときは引き気味だった姿勢を、思いきって得意分野に意識を集中させたことによって、よりアイディアが出てきています。

 やはりこれは何事にもいえることですが、一つのことに特化する、集中する、こだわっていくことで、新しい知恵やアイディアが浮かんでくるものです。私共も今から6年前は経常利益2、000万円の会社でした。それがおかげさまで今期、予算では経常利益34億という数字があげられるようになりました。困っている人達に多少でも何かお役に立てればという御用聞きの精神でここまで来ましたが、さらに不動産特化に徹することで、更に前へ進むことができると思います。

 オフィスにしても店舗にしても、お客様の負担が少なく、借りやすく出やすいことが必要とされてきています。借りるのも大変、出るのも大変という、今の賃貸の仕組みは基本的に考え方が違うのではないかと思います。やはり借りる方の悩みをどうやって解決しようと考えることから、新しいアイディアが生まれてきます。不動産のマーケットもここ1、2年で変わっていくでしょうし、特に住居系は厳しいと思っています。そのような不動産価格が下がってもできる商売、利益が上がる仕組みを考え、お客様に喜ばれる商品作りに徹することによって、アイディアが泉のように湧いてくるのです。

 これからは、これが得意だこの分野では地域で負けない、というものを作らなければいけないと思います。不動産業というものは、本来コンサル業であるべきです。不動産に関することで困ったことを解決してあげられる、お客様に満足していただけることをしようと考えると、やれることはまだまだ沢山あります。また、今までのやり方や慣例にこだわらずに、どうやったらオーナー様、お客様に満足していただけるのだろう、自分達は何が得意なのだろうという事を、もう一度考えていかなければなりません。得意分野にこだわって特化していくことが、新しい不動産業を生み出すでしょうし、仕事、会社を順調に伸ばしていくには、何かに特化していく事が重要だと考えています。

代表取締役会長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道