時代を読む

VOL.196 2016年04月号

今こそ海外に学ぶ

今回は「今こそ海外に学ぶ」というテーマでお話させていただきます。
  インターネットの普及も進み、海外の情報でも簡単に入手できるようになった分、実際に海外へ出向いて何かを学ぶ姿勢が薄れているように感じます。日本の産業が世界に遅れをとっていたころ、不動産も含め、流通、小売りなど様々な業種でアメリカを中心とした海外での視察が盛んに行われていたと記憶しています。最近ではあまり聞かなくなりましたが、私は今こそ海外に大いに学びに行くべきだと感じています。
  音楽や映画の作風にも表れますが、海外の作品はダイナミックで、切り口が大胆で、発想が豊かなものが多く、いつも素晴らしいと感じています。日本にはきめ細やかな気配りなど非常に繊細な部分が沢山ありますが、日本に欠けているのは海外のような大胆さや発想だと思うのです。
  一方で、数十年前、こんなこともありました。アメリカのとあるスーパーマーケットで、入口付近にある専用の機械に空き缶を入れると商品の割引券が発券されるサービスを見つけました。その時は「アメリカの発想力はやっぱりすごいな」と素直に感動したのですが、その直後、機械の後ろでトンカチを使って一つ一つ空き缶をつぶすスタッフの姿をみて、発想の素晴らしさと作業の非効率さのギャップにがっかりしてしまいました。日本では割引券を発行する発想はなかなか出てこないかもしれませんが、日本ならではのきめ細やかな繊細さがあれば、きっと空き缶の処理までを自動化するはずです。
  私は、海外の大胆さや発想力と日本の良さを合体させれば、世界一のサービスを提供できると確信しています。当社が手掛けるストレージ事業は米国発祥のビジネスですが、ストレージに関しても、世界一のサービスを目指せると考えています。
  良い例が米国発祥のセブンイレブンです。セブンイレブンは、海外の大胆さや発想力と、日本ならではのきめ細やかさを合体させて、大いに成功した事例です。実際に、高度成長期には日本の経営陣が海外視察を通じて得た知見をフル活用し、本国にはない物流システムやPOSシステムに裏付けされた商品構成で独自に進化させた結果、今では米国のセブンイレブンを傘下に収めるほどに成長しています。私も20〜30年前に現地のセブンイレブンに立ち寄った際にはその雑然とした佇まいにがっかりとしたのですが、日本のシステムを取り入れた最近の米国セブンイレブンは見違えるようなレベルの高い店舗になっており、世界に通用する仕組みを作り上げた日本のセブンイレブンの素晴らしさを改めて認識しました。セブンイレブン以外でもユニクロや楽天も、海外のような発想力や大胆さと日本のきめ細やかな繊細さをうまく組み合わせた事業戦略を実践していると感じています。
  海外の視察では、真剣に本質を掴もうとする姿勢も重要です。インターネットの情報だけではなく、実際に自分の耳で聞き、目で見、相手と対話して、肌感覚もフル活用しなければ、何事も実態として盗むことはできません。外国語が話せなくても、通訳さんに頼めばいいのですから、臆せずに聞きたいことは何でも聞くべきです。私も年に幾度か、米国の企業を訪問してディベートする機会がありますが、ときに通訳さんに「こんなこと聞けません」といわれるほど、ありとあらゆることを質問しています。有難いことにこちらが真剣に聞いていることには、先方も真剣に応えてくれるもので、非常に有意義な情報をたくさん得ています。
  昨年の秋にgoogleのシリコンバレーの本社を視察しました。常に新しいサービスを生み出しているgoogleは正に「創造する企業」だと思います。その対極にある「作業をする企業」が生き残れる時代はもう終わりました。日本は、これから高齢化や都市への人口の集中など、いまだかつて経験したことのない大きな社会の変化を迎えます。そのなかで世界に立ち向かえる素晴らしいサービスを生み出すためには、改めて米国をはじめとする海外に学ぶ姿勢を大切にしていくべきだと思います。

代表取締役社長 林 尚道

代表取締役社長 林 尚道