VOL.304 2024年 12月号
今回は、人材の質の低下、というテーマでお話ししたいと思います。
最近、従業員、特に接客サービス業をはじめ、お客様対応をするような方々のレベルが、急速に低下し始めたと感じています。今まで、優秀な人材は、相応の給与を払える会社に集中する、という話をしてきました。しかし、それが出来る会社がまだ少ないという現実から、パフォーマンスの低い人がどこでも働けるようになっています。日本の未来は明るいというお話を先月したばかりですが、人材の面では課題は多いと感じています。欧米化しつつあるという話も繰り返しお伝えしてきましたが、日本の素晴らしい特徴であるきめ細かな気遣い、サービスという点が急速に壊れてきています。私自身、先日、実際にそう感じる機会が複数回ありました。
そのような出来事も重なり、人材の質の低下に思いを馳せていますが、一つは上手く教育が出来ていないということが原因ではないかと考えています。社会の変化もあり、厳しい指導が許されず、現場では相当な苦労があることでしょう。人は楽な選択をしますから、多くの場合、指導で苦労した末に、怒らず我慢するようになっているのはないかと思います。
また、昔は世間にも、今よりお節介な人が多く、企業のサービスに不満を抱き苦情を述べる方の中にも人を育てる、という意識がありました。もちろんそういう方が全くいなくなったわけではありませんが、現代社会は個人主義であり、身勝手な要求をして育てるどころか人がつぶされてしまう事例が多く聞かれるようになりました。言葉を変えれば、社会が人を育てなくなったともいえると思います。
手前味噌な話ですが、つくづく当社の社員は非常にまじめで立派だと思います。ここまで言い切れる背景には、当社独自の仕事術エリアリンクマスターの徹底をはじめ、様々な教育の仕組みで、社員教育に取り組んできたことがあります。課題の多い社員も今までたくさんいましたが、全員等しく教育してきました。人によっては、自分の能力開発にそこまで会社に介入してほしくない、放っておいてくれという方もいるかもしれません。そうした考え方を否定するわけではありませんが、日本人の気質に欧米のような個人主義は合っていないのではないでしょうか。それよりも協調性や一体感の方が似合っている。ですから、社員教育も個人任せにせず、会社としてしっかり人を育てる環境を作る必要があり、これは経営者の最も重要な仕事の1つです。当社の取り組んできた、社員教育に関する内容を今後も発信し、少しでもみなさんの参考になる情報を提供できればと思っています。
少々おこがましい話ではありますが、人材教育の成功例として、日本の中で当社がモデルとなれるように、今後も一層邁進したいと思っています。
今回の時代を読むが、皆さまのお役に立ちましたら幸いです。