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今回は事業承継についてお話したいと思います。

当社の代表取締役社長である鈴木が社長になり、私が会長職についたのは今から3年前のことです。次代のリーダーをどう選定するかは、それよりもずっと前から会社の課題として挙がっていました。一般的には親族や子に引き継ぐケースが多いと聞きますが、私の中にその選択肢はありませんでした。血縁を理由に判断をするつもりがなかったのはもちろんですが、そのケースでは、周囲が創業者と子を比較してしまい、組織がまとまらなくなる弊害も多いと耳にしていたからです。

この人事については数年がかりで準備を進めました。鈴木は当時まだ30代半ばと若かったのですが、私自身、若くして多くの責任を任された経験から、本人の能力の有無もさることながら、もっとも大切なのはやる気・気概であると考えていました。年齢ゆえに経験が不足しているのは当然ですし、欠点のない人間などいません。そこは周りがしっかりフォローすれば良いのです。

そうした考えのもと、役員たちには一丸となって鈴木を支えてほしいと伝えました。役員たちがその言葉通り、非常に献身的に支えてくれたかいもあり、社長就任を目前にして鈴木の成長には目を見張るものがありました。

当初、私自身ももどかしさから必要以上に言葉が厳しくなることもありましたが、本人や周囲が支える姿をみているうちに、よくやっていること、足りていないところを客観的に考えられるようになりました。それからは、私自身の読みを意見として伝えるだけに留めるように努め、結論は社長と役員で決定してもらうように心がけました。

外からみると、当社の事業承継はスムーズに進んでいるように映るかもしれません。しかし実体験を通じて思うのは、承継においてもっとも重要なのは、先代が過度に関与せずに信じて任せること、そして、役割の変化を自分自身で受け入れることではないかということです。
また、エリアリンクメソッドの存在も引継ぎを後押ししたと感じます。会社として大切にすべき考え方が仕組みとして明文化されているため、これを継続することで、当社の価値観はおのずと継承されていくのです。

時代は今急速に変わりつつあります。事務作業や各種業務の大半をAIが代替するようになったとき、人間が最後に求めるものは「楽しさ」や「感動」ではないかと私は考えています。私たちが理念や使命を愚直に追い求めることは、これからの世の中に不可欠だというのは最近の時代を読むでも繰り返しお伝えした通りです。

いま、会長としての私の役割は、私が一線を退いたあとに残った社員たちがどうすれば幸せになれるのかを考えることです。具体的には理念や使命の徹底、それが社員全員のものになるようにサポートすることです。また、30年後の未来を見据えた会社の設計図のようなものを描き、そのために何ができるかというアイデアを残してあげることです。私が未来を指し示し、若い世代がそれを実行する。その中で皆が時代を捉える力を養ってくれれば良いと思っています。

会長職に就いて3年になりましたが、この役割を果たすために、人間が合理性を追求した先に何を求めるのか、会社の未来とともに、これからも問い続けていきたいと思います。

今回の「時代を読む」が、皆様のお役に立ちましたら幸いです。

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